ひきこもり科学館

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【未来予測】自動運転技術がもたらす生活・産業・地域の変化|ヒトがクルマのハンドルを手放すとき、何が起こるか?

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 現在、世界各地で自動運転技術の開発が進んでいます。そう遠くない将来、私たちはクルマのハンドルを手放すかもしれません。では、自動運転技術は、私たちの生きるこの世界に、どのような変化をもたらすのでしょうか?…うーん、いろいろありそうです。ここでは、生活・産業・地域の3つの側面から、考えてみました。

 

自動運転が生活を変える!

◯ 運転免許廃止、運転禁止?

 自動運転技術には、いくつかレベル(レベル1~5)があるのですが、そのレベルが上がっていくほど、ヒトが運転に関わる必要性はなくなっていきます。そうなると、自動車の運転免許は、より簡易に取得できるものになるでしょう。そして、最後には廃止されるでしょう。廃止されるころには、「ヒトが運転するなんて危険だ!」という判断になり、運転そのものが禁止されるかもしれません。

 

◯ 交通弱者問題の解消

 自動運転車が普及すれば、「交通弱者」がいなくなります。交通弱者とは、クルマを運転できないために、日常の移動や生活に支障をきたしている人をいいます(例えば、高齢者や障がい者、子ども、低所得者の多くがそうです)。これに派生して、買物に行きたくても行けない「買物難民」、病院に行きたくても行けない「通院難民」といった人もいます。しかし、自動運転車が使えれば、こうした人たちの問題はなくなります。どんな人でも、自由に移動できるようになるからです。これはすごいです。軽く、人生を変えそうです。また、今までクルマを運転できないために就けなかった仕事にも、何の問題もなく就けるようになります。交通格差の解消が、就業機会格差の解消にもつながるのです。

 

◯ 移動時間が自由時間に!

 自動運転車では、自らがハンドルを握る必要はありません。そのため、移動時間が自由時間になります。自動運転車では、(自動)運転中に何をしてもOK。読書をしてもOK、カラオケをしてもOK、何なら飲酒をしてもOKです。今までよりも、移動時間を有効利用できるようになります。これまで無駄だった通勤・通学時間も、もう無駄にはなりません。これは、人生のさらなる充実をもたらすでしょう。

 

◯ 交通事故は減少(起きても、法的責任は回避?)

 自動運転車が普及すれば、交通事故は大きく減少します。その理由は簡単、生身の人間(の運転)より自動運転の方が正確だからです。少し、考えてください。自動運転車なら、コンピューターで速度や車間距離を調整、センサーで障害物を認識し回避します。一方、人間は…、ブレーキとアクセルを踏み間違え、コンビニのなかに突っ込む始末です。もう、どちらの方が安全性が高いか、は言うまでもありません。また、もし事故が起きてしまっても、(人間ではなく)システムが運転しているとなれば、ドライバー(?)の法的責任は一定程度免除されるものと予想されます。

 

◯ カーシェアリングの普及

 自動運転車の普及とともに、カーシェアリングも普及します。クルマの脱所有化(脱私有化)が進みます。その理由は簡単、自動運転であれば「クルマは必要なときに呼べばいい」からです。だって、そうでしょう。自動運転は、自動で動くのですから。自動運転は、スマホで呼べば、自宅の前まで勝手に来る(能力がある)のですから。わざわざ、自宅の車庫に待機させておく必要はありません(ジャマですし)。よって、そう遠くない将来、クルマは「持つもの」から「借りるもの」に変わっていくでしょう。そのほか、車庫がいらなくなる分、家が広く使えるようになるでしょう。

 

自動運転が産業(特に、交通・運輸、流通産業)を変える!

◯ ドライバーは失業?それとも、生産性アップ?

 あらゆる仕事が、自動運転技術の影響を受けます。そのなかでも、もろに影響を受けるのが「ドライバー」あるいは「運転手」という仕事です。タクシーやバス、トラックなど…。自動運転技術の実用化により、こうした仕事は消滅の危機に陥ります。何せ、自動運転ですから。"自動”で運転してくれるのですから。今まで自分がやっていた仕事が、まるっと肩代わりされてしまいます。

 しかし、必ずしも悲観することではありません。見方を変えれば、自分は運転以外の仕事にシフトできる、ということでもあります。まず、今のドライバーは、外(路上)からバックオフィスに移ることができます。運転自体はシステムが勝手にやってくれますので、PCで複数の車両を動かすこともできるでしょう。いわゆる運行管理ですね。仮に、1人で40台動かすことができれば、仕事の効率は今の40倍になります。これこそ、生産性革命といえましょう(その分、1台の単価も下がりそうですが)。また、車内の清掃や荷物の積み下ろしは、補助的業務として残るでしょう。一方で、新しい仕事も生まれるかもしれません。先ほど述べたように、移動時間が自由時間になりますから、その時間を有効利用できるように、車内販売・車内サービスが盛んになるかもしれません。例えば、タクシーの車内でコーヒーを売ったり、バスの車内でマッサージをしたり…、するかもしれません。「マンガ喫茶バス」もできるかもしれません。

 

◯ ネット通販のさらなる拡大、社会インフラ化

 自動運転技術の実用化は、ネット通販をさらに拡大させます。その理由は、物流効率の大幅なアップが見込まれるからです。自動運転なら、コンピューターで最適なルートを選択、多少高速でも安全性を保ったまま運行できます。そして、何よりドライバーの人件費がかかりません。そのため、配送効率の大幅なアップが見込まれます。「今より早く」「今より安く」商品が届くでしょう。もはや、ネット通販で買い物をすることは当たり前、もしかしたら、ネット通販以外で買い物をすることの方がレアになるのかもしれません。ここまで来ると、ネット通販はもう「社会インフラ」でしょうね。ただ、そうなると、実店舗の経営は厳しくなっていくでしょうね…。ともかく、今後、ネット通販の影響力が増大することは、間違いないと思います。

 

◯ 他の産業にも、波及効果が…

 自動運転技術が影響を及ぼすのは、交通・運輸、流通といった特定の産業分野にとどまりません。他のあらゆる産業分野にも、影響を及ぼします。うーん、そうですね…。直接的にも間接的にも、輸送機械が関与していれば、何かしらの影響が及ぶとみて間違いないでしょう。まず、言えることとして、自動運転によって移動効率が向上すると、多くの産業において生産性が向上します。

 例えば、製造業。工作機械の自動運転化によって、資材の運搬や組立ての効率が上がります。そのため、今より「安く」「早く」製品をつくることができます。同様に、建設業。建設機械の自動運転化によって、施工の効率が上がります。当然、今より「安く」「早く」工事を行うことができます。また、こうした産業では、自動運転がある程度「力仕事」を肩代わりしてくれるので、女性の就業が促進されることが期待されます。さらには、農業。農業機械の自動運転化によって、作付や収穫など農作業の効率が上がります。その結果、農業生産性が上がります。これは、日本の農業が、国際競争力を付けることにもつながります(企業的経営や「6次産業化」と合わせ技にすると、いいんじゃないかな?)。また、農作業の負担が軽減されるので、人手・後継ぎ不足の解消にもつながります。このように、自動運転技術は広くさまざまな産業分野に影響を及ぼすのです。

 

自動運転が地域を変える!

◯ コンピューター制御により、一般道が高速道路化

 自動運転の実用化は、道路交通を高速化させます。なぜなら、自動運転なら、多少速度を上げても安全なままに走行できるからです。当たり前ですね。生身の人間とは違うのですから。自動運転車なら、コンピューターで速度や車間距離を調整、センサーで障害物を認識し回避します。だから、高速化できるのです。自動運転車なら、そこそこ(すれ違えるくらい?)の道幅があれば、軽く100kmくらい出しても大丈夫でしょう。そのため、一般道は高速道路化していくものと思われます(高速道路なら、200kmくらいは出せるかな?)。おそらく、通勤・通学圏も広がるでしょうね。

 

◯ 交通渋滞も減少、スマートな交通環境に

 自動運転車が普及すれば、交通渋滞は大きく減少します。なぜなら、自動運転車なら、コンピューター制御でルートや速度、車間距離を最適化できるからです。コンピューターが、わざわざ渋滞させるようなことはしないからです。そのため、自動運転化が進めば、渋滞知らずのスマートな交通環境になります。そう遠くない将来、「渋滞で遅刻しちゃった」なんてことはなくなるでしょう。

 

◯ 道路・駐車場面積の縮小により、都市空間を有効利用できる

 自動運転車なら、あまり道幅をとらなくても安全に走行することができます。自動運転車なら、「クルマは必要なときに呼べばいい」ので、駐車スペースを減らすことができます。よって、自動運転車を普及させることができれば、道路や駐車場の面積を減らすことができます。すると、今より都市空間を有効利用できるようになります 。

 少し、考えてみましょう。まず、車道の幅が減る(減らせる)分、歩道や自転車道を整備(あるいは拡幅)することができます。また、これによって自動車と歩行者、自転車が接触するリスクを減らすことができます。つまり、歩車分離の安全性の高い道路環境を実現することができるのです。次に、駐車場が減る(減らせる)分、都市部の再開発を促進することができます。少しまとまった駐車場があれば、マンションにするもよし、商業ビルにするもよし、オフィスビルにするもよし、です。みどりが足りなければ、公園にするもよし、です。それぞれの地域のニーズに合わせて、開発したらいいと思います。今「土地がない」(とされる)地域でも、駐車場からの転用によって、新たな開発ができるかもしれません。このように、自動運転車の普及に伴って、都市空間をより有効に利用できるようになるのです。

 

◯ 交通利便の向上によって、地方は活性化

 自動運転技術の実用化は、地方の活性化につながります。なぜなら、自動運転によって自由に移動できるようになると、比較的「好きな場所に住める」ようになるからです。今までは、十分な移動手段を持たないために、都市部の便利な地域に移住せざるを得ないことが少なくありませんでした。仕事に行けない、買物に行けない、病院に行けない…。そう言って、地元や愛着のある地域を離れざるを得ないことが少なくありませんでした。

 しかし、自動運転車があれば話は別です。自動運転車があれば、都市部の便利な地域に、比較的容易にアクセスできるようになります。そのため、多少不便な地域に住んでいても、生活を成り立たせることができるのです。今は無理して都会に住んでいる人も、田舎に戻ることができるかもしれません…。自動運転は、いわゆる「限界集落」をも救うと思います。なぜなら、自動運転車があれば、多少遠くまで用事を済ませに行くことができるからです。たとえ集落にスーパーがなくても、学校がなくても、病院がなくても、大丈夫です。自動運転車があれば、あるところまで行くことができるからです。このように、自動運転車があれば、地方でもラクに便利に生活することができるようになります。その結果、地方に住む人を増やすことができれば、東京一極集中や地方の過疎化を緩和することができるでしょう。

 また、自動運転技術の実用化は、農業や工業など地方の産業振興にもつながります。もともと、農業や工業など広大な用地を要する産業は、自動運転技術による業務改善、合理化と相性がいいです。農業であれば農機、工業であれば工機の自動運転によって、生産性をアップさせることができます。つまり、自動運転によって「稼げる」産業に育てることができるのです。こうして、地場産業を育てていけば、地方は活性化していきます。

 

 以上、長々と書いてきました。まぁ、今回書いたことは「予言」の一種なので、どうなるかは分かりません。当たるかもしれませんし、外れるかもしれません…。ただ、自動運転技術が 、私たちの生きる世界に大きな変化をもたらすことは間違いないでしょう。それでは、未来に思いを馳せつつ、今回はこのへんで。

 

 (参考文献)