えー、大学院に来てみて、いろいろ思うところがあるのですが。大学院って、何か独特の世界ですよね。実際、入ってみるまで分からないことが多いですし…。例えば、研究たるものの面白さとか、難解さとか、辛気臭さとか。さらには、研究室の不思議な人間関係とか。院生のくもった将来の見通しとか…。ただ、この経験を共有できる人があんまりいないなー、と思いまして。ましてや、文系だし。存在自体がマイナーな文系大学院だし…。
という訳で、今回は「文系大学院生あるある10選」を書き連ねてみました。同業者の皆さんで「あるある」「ないない」で盛り上がるのはもちろん、これから進学を考えている皆さんのご参考にでもなれば…、と思います。それでは、はじまりまーす!
① 人間関係が狭くなる
大学院に行くと、人間関係が狭くなります。本当に狭くなります。具体的には、同じ研究室の人にしか会わない、同じ研究室の人にも稀にしか会わない、という状況になりがちです。これには、学部生時代の友人がいないから、ほとんど講義がないから、院生自体が少ないから…等々、さまざまな理由があります。よほど外向的な人、ないしは積極的に人間関係を築く人でないと、まずそうなると思ってください。
② 大学に行く人と行かない人にきっぱり分かれる
分野にもよりますが、院生は大学に行く人と、行かない人にきっぱり分かれます。言い換えると、研究室を仕事場にする人と、自宅を仕事場にする人にきっぱり分かれます(ちなみに、私はバリバリの後者です)。これは、どちらの方が落ち着くか、仕事がはかどるか、という話です。だから、研究室に来ないからといって、何もしてない訳ではありません。えっ、本当ですよ⁉在宅勤務です。あくまで在宅勤務です。
③ 進路の話はしない(できない)
正直、文系の大学院なんて、まともに就職したい人が行くところではありません。カネになるような知識・技術は得られず、ただ年齢を重ねていくだけ…。そんなこと分かっています。みんな分かっています。だから、進路の話なんてしません(できません)。まぁ、それでもたまに訊かれますがね。う~ん、自分でもよく分かりません。予定は未定です(何なら、仕事でも紹介してくださいな)。
④ 英語は話せない
研究の都合上、英語の文献を読むこともあります。よく分からないけど、読むこともあります。英語が好きでも得意でもない私にとっては、正直つらいです。あうぅ~。とはいえ、少しは読めるようになってきたかな。少しは。ただーし!英語が「読める」のと「話せる」のとは別ですよ。私は留学生のチューターをやって、痛感しました。英語で日常会話なんて、そうそうできるものではありません。
⑤ ゼミの前になって、急に成果をつくろうとする
本来、発表したい成果があるから、ゼミで報告するのです。ゼミがあるから、発表したい成果をつくるのではないです。ところが、これがなぜか逆になるのです(特に、私のような怠惰な院生はね…)。しばしばゼミの前になって、発表するような成果がない、と焦るのです。そして、慌てて何か成果をつくろうとします。ちょっと、本でも読もうか、アンケートでも作ろうか、とか。こうして、何とか付け焼刃で乗り越えようとします(実際に乗り越えられるか、は別として)。という訳で。皆さんは、もっと計画的に研究を進めてくださいね。
⑥ いきなり研究内容を訊かれても、困る
家族や友人との集まりがあると、結構な確率で「何の研究してるの?」「どういう分野なの?」という話題になるのですが、これが結構困ります。実は、自分の研究内容を素人にも分かりやすく説明する、というのはものすごーく難しいのです。だって、◯◯学といっても、いろいろあるじゃないですか。◯◯学って、世間から結構ズレて認識されているじゃないですか。そのあたりの認識のすり合わせから、やらなきゃいけませんか?もちろん、本気で知りたい人には、頑張って説明しますけど…。別に、大して知りたくないでしょう(そんなことない?)。
⑦ (研究中に)自分が何を何のためにやっているのか、分からなくなる
研究は、まだ誰も知らないことを自らの手で明らかにする、という創造的な取り組みです。とはいえ、実際には地味で孤独な作業が多いのです。ひたすら文献を読んだり、データを入力したり、図表を作成したり…。そうしているうちに、ふと、「あれ?自分って今、何をしているんだっけ?」と思うことがあります。「これ…、何のためにしているんだっけ?」と思うことがあります。まぁ、これも含めて研究なのかも…、しれません。いや、人生なのかもしれません(哲学)。
⑧ もはや、変人でけっこう
大学院は、ちょっと変わった人が多いです。文系の大学院なんて、なおさらそうです(何せ、物好きしか来ませんから)。まぁ、人と少しズレているくらいが、研究にはちょうどいいのかもしれません。変人と世紀の天才は、紙一重ですからね(大半の人は、変人止まりでしょうけど)。まぁ、自分でも、いくらか自覚はあります。会社に勤めてお給与をいただくような、ごく普通の社会生活に適性がないことぐらい、分かっています。もう、それで結構です。今さら軌道修正しようなんぞ、無理な話です。
⑨ 勉強は好きじゃない
大学院生というと、すごく勉強が好きな人だと思われがちですが違います。ごく一部の知識を溜めこむのが好きなだけです。院生は、勉強家というよりはオタクに近い存在です。ただ、好きの対象が格ゲーから、老荘思想に移っただけです。だから、皆さんが思い描くような勉強(例えば、大学入試や公務員試験のような受験対策的なもの)は、あまり好きではないです。「歴史は好きだけど、受験勉強の歴史は嫌いだ!」というような、ちょっとヒネた人が多いです(ちなみに、私も学習指導要領に則った勉強は大嫌いです)。
⑩ 将来が不安(でも、意外と就活はしない)
将来が不安です。学部生より歳をとっている分、なおさらそうです。でも、意外と就活はしなかったりします…。大学院には、どうも普通の会社勤めに対して、無駄に抵抗感を持つ人が多いです。私もそうです。皆、何で普通にスーツを着て、1日8時間も働いているのか、さっぱり分かりません。もし、気まぐれで就職できても、すぐに辞めたくなるんじゃないかなー、ひょっとしたら、発達障害でも出てくるんじゃないかなー(正確な診断は受けてないけど)。そんなことばかり…、考えてしまいます…。
以上、ぐだぐだと書いてきました。まぁ、大学院って、それなりに面白いところですよ。いろんな人がいますし…。実際に、研究職になる・ならないはともかく、一度真剣に研究たるものに取り組んでみるのは、何かしらのいい経験になるとは思います。といったところで、今回はこのへんで…。