ひきこもり科学館

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【就活】真っ黒なリクルートスーツは「無難スパイラル」の帰結 ~正直、着たくない人も多いのでは?

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毎年、就活の時期になると、街は真っ黒なスーツを着た学生たちで溢れかえります。黒、黒、黒と、溢れかえっています。もはや、その光景は一種の風物詩となっていますが、何だか、カラスの群れのようにみえて、「おかしい」というか、「気持ち悪い」というか…、複雑な気持ちになってします。例の彼ら・彼女らが着ているのは、いわゆる「リクルートスーツ」という代物です。あの、就活用の制服と化した、「黒い」以外にこれといった特徴のないスーツのことです。

しかし、そもそもなぜ、こんなにもリクルートスーツなるものが広まったのでしょうか?―あんな「もっさい」スーツ、誰も喜んで着たがるとは思えないのですが(オシャレな日本の若者たちであれば、なおさらでしょう)。また、そもそも、リクルートスーツなんて本当に必要なのでしょうか?―あんな(就活以外では)葬式にしか使えなさそうなスーツ、とても買いたいとは思えないのですが。うーん、よく分からないですね。という訳で、今回は例のリクルートスーツなるものについて、改めて考えてみました。

 

① かつては、リクルートスーツなど存在しなかった

今でこそ当たり前のリクルートスーツですが、実はあれは結構新しいもので、2000年代初頭に登場したといわれています。ある大手メーカーでは、2001年頃から急に新入社員のプロフィール写真が真っ黒になったとか(以下、参考記事)。

yashio.hatenablog.com

これは裏を返せば、90年代以前はリクルートスーツなど存在しなかった、ということです。つまり、今のおっさん・おばさん世代は、真っ黒なスーツなんて着ていなかったのです。その代わりに、紺やグレー、ベージュなど、もっとカラフルなものを着ていました。女性なんか、赤とか白でもよかったとか。そんな感じでした。どうでしょう…。少し、驚きましたか?今の当たり前、リクルートスーツも、一昔前は決して当たり前ではなかったのです。したがって、「就活は黒いスーツが常識!」なんて、かなり怪しいものだといえます。バカな盲信、に近いものだといえます。もっと、柔軟に考えてもいいと思います。

◯ リクルートスーツが流行った理由

ちなみに、黒のリクルートスーツが普及した理由について調べてみましたが、今ひとつ、はっきりした理由はないようです。一説では、不況期の就職活動において「下手に服装で目を付けられて、就職を棒に振りたくはない」という思惑から、しだいに無難で無個性な黒が選ばれるようになった、とされているようですが(実際、紳士服業界では好況になると明るい色が、不況になると暗い色が買われる傾向にあります)。どうなんでしょう…?もしかしたら、メーカーや販売店が裏で何かをした、という可能性もありますがね(単に「流行っただけ」では、なかなか納得できませんし…)。まぁ、結局のところ、はっきりした理由は分からない、ということです。

 

② 就活に蔓延する、無難スパイラル

どうも、今の就活は「無難スパイラル」状態にあるようです。無難スパイラルというのは、皆が過剰に無難さを求めることで、皆が息苦しくなってしまうという、悪循環な現象のことをいいます。

一度、就活のハウツー本をパラパラとめくってみてください。「髪型は◯◯の方が無難だ」とか「志望動機に◯◯は使わない方がいい」とか、やたら無難さを求めるアドバイスで溢れかえっています。一度、就活のセミナーにも出てみてください。そこに出ている講師が「あなたの夢を大切にしよう!」なんて言いながら、「スーツは黒無地の方が無難だー!」と連呼しています。実に、夢のないアドバイスですね。そんな訳で、世の大人たちが口にするのは皆「◯◯の方が無難」「◯◯はやめとけ」ばかりです。

はぁ~~~。どうして、こんな風になるのでしょうねぇ?まぁ実際、企業の採用活動も往々にして防衛的ですから、そうなってしまうのかもしれません。何だかんだ言って、(下手に尖ってない)無難な人を採りたがるという傾向は、確かにあります。

一方、世間知らずで失敗をしたくない学生たちは、こんなクソくだらんアドバイスでも聞き入れてしまうのです。そりゃ、そうですよね。知らないことだらけの就職活動って、何かと怖いですもん。それを、エラそうな大人たちに煽られると、さらに怖くなって、もはや聞き入れるしかなくなりますよね。それが「正解」かどうか、なんて分からなくても…。ただ信じ込むしかない、みたいな…。そういう心理状態に追い込まれてしまいます。まぁ、学生だって、どこかに「正解」があってほしいとは思いますからね(そんなもの、あるとは限りませんが)。

こうして、どんなにクソくだらんアドバイスでも、それなりに受け入れてしまう訳ですね。今の真っ黒なリクルートスーツが広まったのも、この現象のせいではないでしょうか?きっと、そうでしょう。

 

③ ぶっちゃけ、リクルートスーツなんていらない(求められていない)

ところで、リクルートスーツって誰かに求められているのでしょうか?具体的にいえば、企業や採用担当者は(学生たちに)リクルートスーツの着用を要請しているのでしょうか?―おそらく、そんなことはないはずです。だって、実際に会社にいる人を見渡してみてください。一度、ぐるっと見渡してみてください。皆、黒無地のスーツを着ていますか?―着ていないはずです。もっと、カラフルなスーツを着ているはずです。ひょっとしたら、スーツすら着ていないかもしれませんよ(実際、ベンチャー企業や内勤・女性社員にはありがちです)。だから、ちゃんと会社の人を観察してみてください。その人たちが着ているものは大体OKです。お堅い銀行でさえ、紺ストライプくらいなら、問題にはならないと思いますよ。

 

④ 自分で考えて、無難スパイラルから抜け出そう

就活は学校のテストとは違い、はっきりとした「正解」がありません。ある会社ではAが「正解」でも、また別の会社ではBが「正解」、ということはよくあります(実際、何で受かって、何で落ちているのか分かりませんからねぇ…)。だから、下手に「正解」を求めても仕方がないのです。あくまで、自分なりの答えで挑むしかないのです。だから、自分で考えましょう。何でも無難であればいい、という訳ではありません。それは、スーツの色や柄にも当てはまることです。就活という、自分を売り込む場で、わざと目立たない格好をするのもいかがなものでしょうか?誰が誰だか、分からないような格好をするのもいかがなものでしょうか?無難な選択からは、無難な結果しか生まれませんよ。

 

◯ 国際教養大学の非着用宣言

2014年、国際教養大学(秋田市)が、学生らにリクルートスーツの非着用を推奨する宣言を発表しました。これは、非常に素晴らしい取り組みだと思います。今後、こうした動きが広まっていけば、いいのですが…。広まりませんねぇ…。

news.careerconnection.jp


以上、今回はリクルートスーツについて考えてみました。皆さんはどう思われたでしょうか?まぁ、決してリクルートスーツを着るな、なんて言うつもりはないですが。もう少し、柔軟に考えてもいいのかな~、とは思います。それでは、今回はこのへんで。