ひきこもり科学館

つれづれなるままに、ひきこもり、硯にむかひて

あえて語ろう会社員のメリット ~就職したくないあなたへ

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・長い労働時間
・上がらない給料
・イマイチやりがいのない仕事
・ストレスのたまる人間関係
・巷にあふれるブラック企業のエピソード

などなど。今どきは会社員という生き方・働き方に対して、希望を持てない方も多いのではないでしょうか?――はい、私もそうでした(いや、今もそうかもしれない)。「懲役40年」なんて言葉は大げさですが、新卒での就活に希望を持てなかったのは確かです。しかし、そうはいっても会社員というものは、本当にそんなクソみたいなところばかりなのでしょうか?何かしら、前向きに捉えられる部分はないのでしょうか…?

一方、近年はフリーランスなど、新しい生き方・働き方を模索する動きもありますよね。将来、小さくていいから起業したい!今のスキルを活かして副業したい!そんな方もいるでしょう。何も会社に雇われて働くだけが選択肢じゃない、その通りです。しかし、じゃあそういうスタイルがいいコトばかり…かというと、そんなことはなく…。会社員とは違う、厳しさもあったりしますよね。何がyoutuber だバカやろう、そんなラクなもんじゃねーぞ、このやろう!みたいな。だから、会社員はクソ!これからはフリーランスの時代だ!なんて無責任に言うのも、ちょっとなぁ…?とは思うのです。

そんな訳で。会社員を腐すのは簡単ですし、私も腐したい思いは存分にあるのですが。今回は趣向を変えて、会社員をポジティブに考えられるお話をしよう、と思います。そうですね…。今回の企画は【あえて語ろう会社員のメリット】です。自営業やフリーランスなどと比較しながら、会社員の本当にいいところ、思わぬメリットについてお話ししようと思います。これを読めば、会社員生活もちょっとは希望が持てるはず。就活だって、ちょっとは前向きに取り組めるはず…。そう思いながら、お話ししようと思います。ついでに言うと。結構、会社員というものの本質に迫る話だと思います。

① 安定した収入がもたらす、心のゆとり

お金のゆとりは心のゆとりです。会社員には(高くはないが)安定した収入、という安心感があります。普通に(無駄遣いをせずに)生活すれば、家計がマイナスにはならない、という安心感があります。無職期間のある方は、少しずつ着実に減っていく預金通帳の残高に対する不安感・焦燥感をご存知ですよね。お金がないだけで人は結構病みます、心身の健康を害します。

だから、低くてもいい、安定してくれ!という考え方もあるのです。もう一度言います。お金のゆとりは心のゆとりです。心のゆとりがあるからこそ、お金を稼ぐ以外のこと(プライベートや趣味)も楽しめる、そういう面もあるのです。無職はもちろんそうですが。自営業者や経営者なんかも、お金の不安で眠れない夜を過ごしてたりするんですよ。それに比べれば、ね。会社員って、お気楽なもんなんですよ。

② 収入がマイナスにはならない

商売(事業)というものは、逆鞘になることがあります。何かの拍子にお金を集める装置が、歯車がグィィィーーーンと逆回転して、いつしかお金を吐き出す装置になってしまう…、そんなことがままあります。ところが、そんなとき従業員(会社員)と経営者では、持っている感覚が全く違うのです。

まず従業員の場合、どんなに商売がコケても借金を背負うことはありません。最悪、会社が倒産しようが解雇されようが、収入がゼロになるだけです。つまり、(収入が)マイナスにはならないのです。マイナスにはならない。これだけでも、かなり安心感が違いませんか?そりゃまぁ、ボーナスが減るとかなくなるとか、そのくらいは普通にあるでしょうが。全然大したことはないですよね。それどころか、よほどのことがない限り、基本給は保証されていると言ってもいい…。かなり保護された立場なのです。

一方、経営者の場合は。(収入が)いとも簡単にマイナスになります。商売をやっていると、売上がなくても経費は出ていきます。例えば、観光地の飲食店で、何らかの事情で観光客が激減したとしましょう。はい、売上がガタ落ちしますね。けれども、経費はガタ落ちしないのです。まず、お店の家賃は当然のようにかかってきますし。来るか来ないか分からないお客さんのためにも、食材は絶えず仕入れておかねばなりませんし。鍋だって温めておく必要があります。冷蔵庫の電源だって…、切る訳にはいきませんよね?はい、そういうことですよ。そういうこと。もちろん、従業員の給料だって「じゃあナシで」とはいきません(そんなことしたら暴動が起こるよ)。

経営者には収入がいとも簡単にマイナスになる、という恐怖があります。商売というのは【お金を使ってお金を得る】ようなものですから。例えば、100万円を使って120万円を得ようとすると、120万円が止まったからといって、100万円は止まらないんですよね。困ったことに。何かあったとき、従業員の場合は栄養が届かなくなって飢えるだけです。しかし、経営者の場合は大量出血して致命傷にもなり得ます。血がブシャー。この違いは大きいです。とりあえず血は出ない、傷を塞ごうとしなくていい…、それだけでもかなりラクな立ち位置なのです。

③ 人のお金で勉強できる

会社員のいいところとして【人のお金で勉強できる】という点があります。普通、学校だったらお金を払って勉強するものですが、会社であればお金をもらいながら勉強できるのです。例えば、大企業なんかに新卒で入ると、新人研修が2~3か月くらいあったりしますが、その間にも給与は発生しているのです。その間、1円にもなってないのに…。これって冷静に考えると、すごいことじゃないですか?すごいと思いますよ(なお、OJTと言う名のOJしかない会社もある)。

商売をやるからには、何かしらのスキルやノウハウが必要です。仕事である以上キツいところもありますが、会社では働くうちにそれらを吸収することができます。もちろんその間で、売上が落ちたり納期に遅れたり、クレームが入ったり…、いろいろあるでしょうが。それらを乗り越えていくうちに、実践的な学びを得ることができます。発生するいろんな問題を解決していくうちに、気付けばそれなりのチカラが付いていることでしょう。

もちろんずっと会社にいるのではなく、スキルやノウハウを身に付けて起業する、という手もあります。まぁ、そうするには、そういうものが身に付く会社、仕事に潜り込む必要はありますが(偶然に任せると、全然違う業界、職種に行くことになる)。上手くやれば、効率的にいいものを身に付けられたりします。

④ 実はイチからやるより起業しやすい

皆さんのなかには、就職なんかせずに起業したい、イチからビジネスを興したい、そんな方もいるでしょう。はい、野心があふれていてイイと思います。就職なんて、遠回りなことしないゼ!みたいな。その(謎の)自信と勢いだけで突っ走れる感じ、嫌いじゃないですよ。ただ、ここで皆さんにお伝えしておきたいのですが。起業するにあたって、必ずしも就職が遠回りとは限らないんですよ。むしろ、起業するには一度就職した方がやりやすい、効率がいい、そんなことも多いんですよ。

まず皆さんにお考えいただきたいのが。起業するとき、そもそもイチからビジネスモデルを創造する必要があるか?ということでして。別に必ずしも、そんなことはないんですね。早い話、今いる会社のビジネスモデルを利用したっていいじゃん!ということでして。使えるもんは使っちゃえ!という話です。

この発想は、特に規模の小さい会社の場合に有効です。まず、ビジネスモデルが分かりやすいですからね。小さい会社は、大きい会社と違って【どうやって儲けているのか】が非常に分かりやすい(*1)。社内をちょっと見渡すだけで、

・主力商品はこれだな、ほかの商品はあまり売れてないな
・この商品、他社と差別化しているのはこの部分だけだな
・顧客はこういう会社で、こういうニーズがあるのか
・受注から出荷まで、こういうシステムで回っているのか

といったことが分かってきます。ふ-ん、なーるほど、こうやって儲けているのか、とすぐに分かるようになります。実はこれは非常に大きなメリットで、一度分かったら、パクったりアレンジしたりしやすいですからね。あまり考えなくても、ササっとビジネスモデルが組み上がります。いや~これはラクチン。当然イチから考えるより、成功率も高いですしね(現に上手くいっているモデルですし)。逆に言えば、これが分からない限りは、パクったりアレンジしたりさえ難しいんです。

さらに言うと。小さい会社の場合は、組織の力学(力関係)が変わりやすいので。そういう部分を利用して起業する、という方法もあります。それは次の2つの方法です。

1) 乗っ取り

1つ目は乗っ取り。小さい会社で基幹人材になって、最終的に経営権を乗っ取る方法です。というものですね。小さい会社では、(大企業よりも)基幹人材になりやすいんですよ。はるかになりやすい。

そもそも(経営体力のない)小さい会社では、年功序列なんて悠長なことはやってられません。とにかく利益を出せるやつがエラい、明日の仕事を口に咥えて戻ってくる鳥がエラい、そういう価値観になりがちです。実際エラくさせてやらないと、すぐ他社に逃げられますからね。無理もない話です。

ある意味、厳しい環境ではありますが。しかし、これは新卒くんであっても組織の力学を変えやすい、ということでもあります。小さい会社では、利益さえ出せれば簡単に発言力が上がります。給与や役職も簡単に付いてきます。「えっ、嫌なら辞めるけど?」というアレです。何なら「辞められたくなかったら、俺に未公開株を寄こせ!」とゴリゴリ迫ることもできます。ゴリゴリ、ゴリゴリ…。そして、最終的に経営権を乗っ取れれば、やったね!マイカンパニーの出来上がり!ということになります。

2) ぶっこ抜き

もう1つはぶっこ抜き。小さい会社で収益システムや人材、取引先などを引き抜いて独立する方法です。これは、社内の体制に問題がある場合にやりやすいですね。ちょっと社長に難がある場合とか。

「今の会社に不満のあるやつ、一緒に辞めて会社を興そうゼ!」なんて言って、人材から取引先から抜けるものを全部抜いて、全く同業、完全コピーの会社を立ち上げる、そういう手もあります。ちょっとした、クーデターみたいなもんですかね。社長を残して社員全員退職…とか、面白いですよね(ちなみに、割と普通に起こります)。まぁ、起業的な独創性や斬新さはありませんが、成功はしやすいですよ。

ただまぁ上記の方法(乗っ取り、ぶっこ抜き)は、小さな会社じゃないと使えねーじゃん、というのはあります。トヨタみたいな大企業だと、組織の力学(力関係)なんて、そう簡単に変えられませんからね。とはいえ、大きな会社には大きな会社のいいところがあって。自社の豊富な人材から一緒に働く仲間を集めたり、手持ちの名刺の威力を活かして出資者を募ったり…、いろいろできることはあります。むしろ、中小企業より有利なことだってある訳です。何なら一部事業を引き剥がして、新しい会社をつくるのも手かもしれない。そんな訳で。大企業だからといって、必ずしもチャンスがない訳ではないので、あれこれ考えてみるといいかもしれません。

*1 逆に大企業の場合、組織やシステムが巨大すぎて全体像が見えない、細かく分業されすぎていて何をやっているのか分からない、といった事態に陥りがちです。

 

⑤ 仕事に必要なものは、勝手に用意してくれる

仕事をするオフィスから、机にイス、PC、文房具まで…。会社員の場合、【仕事に必要なもの】は会社が勝手に用意してくれます。自営業の場合は、いろいろと自分で調達しなければなりませんが。会社員の場合、己の身1つで仕事が始められます。ほかにも、営業や出張に向かうクルマ(社用車)があったり。大企業や大工場では、安く食べられる社員食堂があったり…。至れり尽くせりですよね。福利厚生としての社宅・住宅手当もそう、通勤手当もそう。いろいろ面倒を見てくれます。

もちろん、その分差し出すもの(自由な時間とか、気力・体力とか)も多かったりはしますが。上手く利用すればそれなりにいい生活ができたりします。たまーに、会社自体を家にしているような人もいますよね。寝袋なんか持ってきて(いいか悪いかはさておき)。という訳で。会社員の皆さんは使えるものは存分に使いましょう。しゃぶれるもんはしゃぶり尽くしましょう。でないと損ですよ。

⑥ スケールの大きな仕事ができる

企業組織のいいところの1つに【スケールの大きな仕事ができる】というものがあります。例えば…。家一軒なら、(頑張れば)大工1人でもできるかもしれません。しかし、「東京スカイツリー」を大工1人でできますか?といえば、できる訳ないだろ、という話でして。現実には巨大な建設会社、その他諸々たくさんの会社が関わらないとできない訳です。大きな仕事をするには、たくさんの人が必要です。古代ピラミッドだって、たくさんの人を集めて石を引っ張ってきて、ようやく完成したのです。それは、現代における東京スカイツリーでも、リニア中央新幹線でも一緒のこと。デカいことをするには、組織を組んで協力し合うのがキホンのキです。

もちろん、理想の仕事や社会を追求するには、自営業やフリーランスを選ぶ道もあるでしょう。確かに、物事を自分で決められますし、何かと小回りが利きますしね。これは無視できないメリットです。しかし、いかんせん。自営業やフリーランスの仕事は、スケールが小さくなってしまいがちです。社会全体に大きなインパクトを与えるような仕事は、ちょっと難しいところがあります(それでも無理とは限りません)。逆に、小さくてもいいから自分の理想を追求したい!という方は、チャレンジしてみてもいいのかもしれません。

⑦ 苦手なことを人に任せられる

会社というのは、いろんな人が集まって、協力して利益を出す集団です。多くの場合、それぞれが自分の得意なことをやる分業制をとっています(*2)。これが自営業やフリーランスだと、全部or ほとんど自分でやらなければなりません(*3)。えっ、事務手続きが面倒くさい?じゃあ、ほかに誰がやるの?というアレです。苦手、やりたくない、関係ありません。やるしかないのです。はい、キビしいですよね。その労力、ストレスは半端じゃないですよね。皆さんがアッーアッーって言って止まってるの、無理もないです。場合によっては、外注してどうにかしたりもできますが。それなりにコストはかかってきますよね。

何でも自分でできる!というのは一見魅力的ですが、それは何でも自分でやらなければならない、ということでもあって。結構キビしいことでもあるのです。いわゆる「断片職人」でやっていけるの、企業組織、特に大企業のいいところですよ。

*2 たまーに、おかしな人事が苦手なことをやらせたりしますが。それはマネジメントとか、また別の問題です。
*3 とはいえ、自営業でも多少規模が出てきて、人を雇いだすようになると、分業もできるようになります。

 

⑧ 人のお金で博打を打てる

博打を打ちたい、でも自分の懐を痛めたくない…。そういう思いをお持ちの方は少なくないのではないでしょうか?――はい、私もそういう思いがないと言ったら、ウソになります。その点、会社員という立場はいいですよね。何せ、人のお金で博打を打てるんですから。

例えば、ここに予算5000万円の事業があるとします。これが自己資金によるものだとしたら、どうでしょうか?――人生の一大事ですよね。万が一コケたら、大変なことになりますよね。失敗したら、ちょっと取り戻すのは難しいぞ…、そういう感じはしますよね。でも、これが会社のお金だったら…、どう思いますか?――バンバン振り回せますよね。それなりにリスクも取れますよね。だって人のお金だもん。人のお金。人のお金をブンブン振り回すのは楽しい。せっかく人のお金を使えるのなら、じゃあ好きに使わせてもらおうゼ!というのは当然の発想でして。

・新しいオペレーション、導入しようか
・あの古臭い設備、変えたかったんだよね
・今度はあの資材を使ってみよう

といったふうに。人のお金なんて、好きに使わなきゃ損ですよね。しかもこの博打に当たったら、給与が上がったり、役職が付いてきたりする可能性が高い…。あれ、何かワクワクしてきません?ワクワク…。ましてや、上司から「ケツは俺が持つ、お前の好きにやれ」なんて言われたら、サイコーですよね。ヒャッハー!ってなりますよね。まぁケツを持たれなかったところで、リスクなんてせいぜいクビになるくらいです。会社なんて、ほかにいくらでもあります。会社員(従業員)という立場上、借金を背負うこともありません。

⑨ 勝手に社会的信用が付く

会社員の肩書きがあると、勝手に社会的信用が付きます。簡単に言えば、銀行や不動産屋さんが優しくなります。フレンドリーになります。具体的に言えば、ローンを組みやすいとか、クレジットカードを作りやすいとか、そういうやつですね。そこそこ安定した会社に数年勤めていれば、この手のやつで苦労することはないでしょう。

会社員は生活の基盤、家だって買いやすいし、借りやすいです。ということは、自分が住むのはもちろんのこととして。やる気があれば、不動産投資で一儲けすることだってできます(ある意味、フリーより会社員の方が大家さんになりやすい面もあります)。一方、(銀行や不動産屋さんにとって)フリーランスは無職と一緒、なかなか信用してもらえません。それなりの貯金があっても審査には通らなかったよ、そういう事態がままあります。

大手・有名企業の肩書きがあると、大したことない人間でも大したことあるように見えます(*4)。合コンでもモテるようになります(*5)。起業だって、名の通った会社の名刺があれば、話をしやすい(=出資者を募りやすい)です。信用のチカラがあると、物事はスムーズに進むのです。「自分は無能だ、大したことない人間だ」という自覚のある方は、ぜひとも大手・有名企業へ入りましょう。

*4 あくまで、″見える″というのがポイントです。″見える″だけです。
*5 ただし、マイナーBtoB はその限りではないです(婚活では狙い目物件ですよ)。

 

⑩ 儲からない仕事でも、お金がもらえる

皆さんのお仕事、儲かってますか?自営業の皆さんはこのあたり、いつも気にしているとは思いますが。会社員の皆さんは、あまり気にしていない方も多いのではないでしょうか?というのもですね。会社員の場合、儲かる・儲からない、があまり関係ないんですよね。儲からなくてもお金がもらえるから(*6)。

会社員の場合、(自営業とは違い)資材を発注するだけの仕事でも、お金がもらえます。それを商品に加工して販売しなくても、お金がもらえます。何なら「注文のキャンセル処理をする仕事」でも、給与が発生します(これ、自営業だったら悲しみでしかないですからね…)。これは、全体として稼げればいい、という組織の基盤の強さによるものです。そういう意味では、仕事しては非常にヌルいと言えます。ラクな仕事がしてぇ!という方は、会社のコストセンターへ入るといいかもしれません(*7)。

それと、もう1つ。世のなかには、調査・研究、芸術・文化、社会貢献など、やりがいはあるけれどお金にはなりにくい…、そういうタイプのお仕事があります。これらのお仕事も、そういう事業を扱っている会社、部門に潜り込めば、(生活には困らない程度の)お金をもらいながら存分にできるのです。これって、素晴らしいことじゃないですか?だってほら。世のなか、カネにならないことは楽しい!儲かることなんてつまらん!っていう面が少なからずあるじゃないですか。でないと、文学部なんて行かねーよ!っていうね、思いがあるじゃないですか。私だったら、そういう仕事、やりてぇ!って思いますけどね。いや、ほんと。私が以前いた会社、地域活動なんたら部で「平塚らいてう」関係の歴史をレポートにまとめてるオッサンがいて、ですね。いたく、うらましく思ったもんですよ。

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町史編纂、私にやらせて。

*6 会社員でも、歩合ゴリゴリの営業職、販売職などは別です。
*7 ただ、コストセンター的な仕事には、減点評価が主でミスしても挽回が難しい、高度なチームプレイが要求される、営業職のようなインセンティブが付かない、といった側面もあります。人によってはラクな仕事ではないです。

 

⑪ 税金・保険料の事務手続きを代行してくれる

事務手続き、面倒くさいですよね。特に行政手続き、自分でやると面倒くさいですよね。「役所へ行く」というだけで気が重くなる人、いませんか…?はい、私です。自営業の皆さんなんかは、確定申告がほぼ必須ですけども。ちゃんとできていますか?という話でして…。あれ、意外と難しいですよね、よく分かんないですよね。でも、ちゃんとやらないと、後で(確定申告そのものよりも)面倒くさいことになりますよ。行政からの怒られ、発生させたくないでしょ。そんな訳で。商売をやっていると、自分でこういうこともやらなきゃいけない。皆さんはこういうコストについて、考えたことがあるでしょうか?意外とバカにならないですよ。

その点、会社員はラクですよね。すっごくラク。税金・保険料の事務手続き、(会社が)全部やってくれますもんね。何も考えなくても、勝手にやってくれている…。私のような事務苦手マンにとっては、ありがたいことこの上ないですよ。あと、副業をしている方なんかもね。なるべく「会社で払ってます」の体にするとラクですよね。出ていくお金も節約できますし…。会社の事務手続き代行機能、上手く利用しましょうね。

⑫ 働けなくなっても、すぐには生活に困らない

人生長く歩んでいると、何らかの事情で働けなくなることはよくあります。病気になったり、ケガをしたり。子どもを産んだり・育てたり、年老いた親を介護をしたり…。まぁ、いろいろありますよね。そんなとき…。働けなくなっても、ちゃんと休みが取れ、場合によってはお金も出るのが会社員(従業員、被雇用者)です。主要な例を挙げると、産前・産後休暇、育児休暇、病気休暇、介護休暇、年次有給休暇、労災保険 etc…。大体考え得る、一通りのリスクには備えがあります。あと…、一番のリスクである解雇に対しても、強力な味方、雇用保険(失業保険)がありますよね。そう、会社員は守られているのです。働けなくなっても、すぐには生活に困らないようになっているのです。

一方、自営業やフリーランスはというと…。◯◯休暇?そんな休みはありません。何にも保護されていません。もちろん自主的に休むことはできますが、収入はゼロ~マイナスになります。働けなくなったら、即座に生活に支障をきたすのが、自営業・フリーランスなのです。

そういう意味では、会社員という存在は非常によく守られています。何もかも保護が手厚いです。会社員という立場自体が1つの保険、そういう気さえしてきます。イメージとしては「総合保険オールインワンパック」といった感じです。ヘタな保険商品の数倍は、コストパフォーマンスが高いと思いますよ。

⑬ イチから考えなくていいのでラク

皆さんは、会社というのは指示や命令ばかりでうっとうしいなぁ…、と思っているかもしれません。それは確かにその通り、なんですが。しかし、その一方で【考えなくていいのでラク】という面もあるのです。人間、「考える」というのは面倒くさいものです。「今日のお昼、何を食べる?」だけでも、結構消耗します。ましてや、会社の経営判断(例えば事業の存廃とか、資金の調達とか)なんて、そんな比じゃないレベルで消耗しますよね。そう、「考える」コストってバカにならないんです。結構高くつくんです。本当に…。いちいち、何でも自分で決めてやっていたら、いつか気が狂いますよ。そういうところがあります。

その点、会社員というのはラクです。イチから自分のやることを考えなくていい、のでラクです。会社は、常に何かしらの仕事や目標を与えてくれます。それらをこなしていれば、それなりに評価もされますし、達成感も得られるのです。こなしているうちに、体系的なスキルやノウハウも付いてきます。指示や命令というと何か嫌な気分になりますが、会社が敷いた、成長のレールに乗って進んでいくのも悪くはないと思います。自分であれこれ考えるより、そちらの方が効率的…、なんてことも十分あり得ます。あと「やりたいことがない」という方も、会社で何かやりながら考えたらいいんじゃないでしょうか?やっているうちに、何か見えてくるかもしれませんよ(何か経験がないと、解像度も上がりませんし)。

皆さんは、起業・独立にあこがれたりするかもしれませんが。ぶっちゃけ、自分のやることをいちいち考えて決めるなんて、めちゃくちゃ面倒くさいんですよ。起業なんて、その最たる例でして。ビジネスモデルの構築から資金・人員の調達、事務手続きまで、全部自分でやらなきゃいけないなんて、めちゃくちゃしんどいんですよ。思考や決断にかかる心理的コストはバカにならないです。めちゃくちゃ消耗します。経営者の自殺率が高いのは、考えすぎて消耗するから…。そういう面があります。

⑭ いつでも辞められる、逃げを打てる

皆さんは、会社辞めたいですか?そうですか、どんどん辞めましょう。というのもですね。忘れちゃいけない、会社員の大きなメリットとして【いつでも辞められる】というところがありまして、ですね。いつでも辞められるんです。

逆に、自営業や経営者ですと、辞めるにしてもいろんな「後始末」が必要です。もろもろ、事務手続きもあるでしょうし。行政関係のあれこれもあるでしょう。また、仕事にはキリとか約束とか、そういうものがありますので。せめて、この仕事だけでも終わらせなければ、終わるに終われない…。そういうものもあるでしょう。あの日の約束を果たさねば…、とか言ってね。果たせればいいんですがね(果たせないこともあります)。ほかにも…。従業員や取引先にだって、何かしら説明が必要になってきますよね。特に従業員なんか、なるべく今後の生活にダメージのないように、配慮したいですよね。いやぁ~、大変だ。でも、決断を先延ばしにしてズルズルやっていると、かえって傷口が拡がっていったりもして…。ツラいですよね。あと、経営状況によっては(自分に)借金が付いてくることもありますよね。ていうか、たいがい付いてきますよね。だって皆さん。会社の債務、連帯保証してますでしょう?みたいな(ウワァァァーーー!!)。

はい、そういう訳で。自営業や経営者は、そう簡単に辞められないんです。そうそう「嫌になった、辞めよう」ができないんです。ついでに言うと。代表取締役なんかは法的なあれこれで、そもそも辞められない…、なんてことさえあります。まぁ、ここで″法的なあれこれ″の説明をするのは控えますけども。とにかく面倒くさい身分なんだ、ということです。

その点、会社員(従業員、被雇用者)はラクです。いつでも辞められます。サクッと辞められます。そりゃまぁ、最低限の予告期間(民法上は2週間)とか、業務の引き継ぎとか、あるにはあるでしょうが。そんなもの、全然大したことありません。コンビニでおでんを買ってくる、くらいの手間です。もし会社に何かごちゃごちゃ言われても、構わず辞めてしまえばいいんです。辞職は法律上の権利として認められます。会社に止めることなどできません。

という訳で。会社員の皆さんは「いざとなったら、いつでも辞められるんだ」ということを、きちんと頭に入れておきましょう。もちろん、むやみやたらに辞めていい、という訳ではありませんが。常に「辞める」「逃げる」の選択肢を持っておくことは、ある種の安心感をもたらします。これは、近年話題のブラック企業や搾取的労働、違法労働に対する防衛力にもなります。あと、「立つ鳥跡を濁さず」とは言いますが、本当にどうしようもない会社だったら、後ろ足で砂をかけて逃げるくらいでいいと思いますよ。自分の人生や健康より大事なものなんて、ありませんからね。「もういい、辞める!」で貫き通してください。引き継ぎなんて無理してしなくていいと思います。

おわりに

以上、お話ししてきました。どうでしょうか?会社員に対して、ちょっとは希望が持てたでしょうか?こうして見ると、会社員という立場は結構優遇・保護されていますよね。また、会社というのは結構よくできたシステムですよね。上手く利用すれば、結構いい思いもできると思いますよ。皆さんも、会社員はクソ!とか言う前に、上手く利用して立ち回る方法を考えた方がいいかもしれませんね。その方が建設的ですし、人生が豊かになるような気がします。まぁ、利用する価値もないような会社からは、さっさと逃げた方がいいでしょうけども。

番外編:他サイトに載っていた、メリットかどうか分からないもの

最後に。番外編として、他のサイトに載っていた会社員のメリットのうち、【メリットかどうか、今ひとつ分からないもの】を2つご紹介します。

・年金・社会保険料が労使折半

会社員のメリットとして、多くのサイトが【年金・社会保険料が労使折半】という点を挙げています。つまり、自分は半分しか払わなくていいんだ!というアレのことです。確かに、会社が年金・社会保険料を半分負担しているのは事実なんですが。とはいえ、会社員の給与というのは「あらかじめ会社負担分を見込んで、低く抑えられている面もありますよね」という話でして…。純粋に半分しか払わなくていいのか、というと。ちょっとビミョーなところだよね、という感じがします。まぁ、(上にメリットの1つとして挙げたように)手続きを代行してくれるのはありがたいですけどね。

・規則正しい生活リズム

会社員のメリットとして、【規則正しい生活リズムを送れる】という点を挙げているサイトもありました。確かに、一般的な就業時間(9時~18時など)であれば、「朝起きて夜寝る」という規則正しい生活を送ることができます。半ば強制的にリズムが整う、という訳ですね。これなら、遊んでいる大学生なんかにありがちな、生活リズムが乱れまくって何だか具合が悪くなる…、といった事態は避けられるでしょう。昼夜逆転生活、一度なったら戻すの大変ですもんね。そういう意味では、会社のリズムキープ機能も悪くないのかもしれません。

とはいえ、リズムが乱れるツラさもありますが、それと同様に、リズムが固定・強制されるツラさもあります。会社員をやっていると「今日はちょっとダルいから、午後から仕事をしよう」といった調整が難しくなります。今日は朝早く、今日は夜遅く…、といった調整が難しくなります。ちなみに、私は昼食後仮眠をとる(=昼寝をする)タイプなのですが、そういったこともちょっとやりにくいですよね。本当、もうちょっと融通を利かせろよ…、と思うことは少なくありません。

要は、バランスの問題なんじゃないでしょうか?リズムが全くないのもツラいし、ガチガチに固まっているのもツラい。リズムの好みに個人差もあるでしょう。会社も「働き方改革」かなんかで、もうちょっと融通が利くようになるといいですね。

ではでは、今回はこのへんで。