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つれづれなるままに、ひきこもり、硯にむかひて

観光地がないときに頼りたい, ご当地暇つぶしスポット10選

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ない………。
観光地がない。
せっかく遠くまで来たのに、周りに何にもない。
暇だ~~~!
そんな経験ありませんか?

はい、ありますよね。誰しもありますよね。
例えば…。
観光に来たものの、ホテルの周りに何もないとか。
出張先で、結構時間が余ってしまったとか。
あれ?名古屋に観光地ってないじゃん(激しい偏見)とか。
そういうとき、あなたはどうしていますか…?

仕方ない、マックでコーヒーでも飲むか。
本屋で立ち読みでもするか。
というのも、ちょっと味気ないですよね。
そんな地元の駅前でもできることを、遠くまで来てわざわざしたくない。

せっかく来たのだから。
ご当地ならではのモノが見たい!
ご当地ならではの経験がしたい!
一期一会の思い出をつくりたい!
と思うのは当然の発想でして…。

そこで今回は、近くに観光地がないときに寄ってほしい、暇つぶしができて、その土地ならではの経験もできる【ご当地スポット】を10選にまとめてご紹介します。これを読めば、旅先で暇を持て余すこともないはず…。下手な観光ガイドの10倍は役に立つ自信があります。なお、各ご当地スポットの評価基準は下記の通り。ご当地度、一期一会度、アクセス度の3指標で評価しています。

〔 ご当地スポットの評価基準 〕
・ご当地度:その土地ならではのモノがあるか、地域の特色を感じられるか
・一期一会度:一期一会の出会いがあるか、唯一無二のモノや時間・空間を味わえるか
・アクセス度:どこにでもあるか、探しやすいか、見つけやすいか

 

1. 喫茶店・カフェ

ご当地度:★~★★★
一期一会度:★★★~★★★★★
アクセス度:★★★★★

まずは喫茶店。ここでいう喫茶店は、スタバのようなチェーン店ではなく、個人経営の小さいお店のことをいいます。いわゆる純喫茶とか、地元で昔からやってるお店がいいですね。外壁にツタでも這ってたら最高。ほら。寂れた駅前にも、1軒くらいはあるでしょう?

では、お店のなかに入ってみましょう。店内を見渡してみると、落ち着いた雰囲気のなかに、かすかに漂うコーヒーの芳香。各所にこなれた感じのテーブル・イスが置かれて、その周りにはよく分かんない雑貨や、観葉植物なんかが飾ってあります。はい、いいですね~。そのお店特有の空気(雰囲気)を、そのお店にしかない空気を全身で感じ取りましょう。ぶっちゃけ喫茶店なんて、そこにある時間や空間を味わうものですからね。コーヒー450円なら、コーヒー代はせいぜい200円がいいところ。残りの250円は、時間や空間に払っているようなもんです。

では席に着いたら、さっそくメニューを見ましょう。シンプルにホットコーヒーを頼むのもいいでしょうし、気分に応じてミルクティーを頼むのもいいでしょう。腹が減ってたら、カレーライスやナポリタンもいいですね。何か珍しそうなメニューがあったら、そういうものを頼んでもいい。

お店や地域によっては、ご当地性のあるメニューもあったりします。例えば、名古屋あたりの喫茶店なんか、そうですよね。卵やらサラダやら、ヨーグルトやら、何かいろいろ付いたモーニングがあったり。なかには、味噌汁やうどんを出してくるところ(コーヒーに合うんかいな?というのはさておき)もあったり。あとは、あんこのたっぷり付いた「小倉トースト」も楽しんでほしい…。

一方、大阪(関西)あたりでは、"厚焼き玉子"のたまごサンドとか、どろどろの「ミックスジュース」とか、そういうものもあったりします。どちらも、昔ながらの素朴な美味しさがあって、いいですよね。そういえば、コーヒーに付けるミルクを「フレッシュ」っていうの、関西(+東海地方の一部)だけらしいですよ。

ほかにも、長崎だったらトルコライスにミルクセーキ、姫路だったらアーモンドトースト…、いろいろありますよね。そういうご当地性があったら、楽しむのも悪くはないでしょう。

それと、もう1つ。こういうお店のお客さんは、ほぼ地元の人しかいませんので。見た目や会話の内容から、そのまち(街)がどういうまちなのか、手に取るように分かったりします。例えば「あぁ、ここは町工場的な労働者のまちだな」とか、「マダムが多いな、割とハイソなところだな」とか、面白いように分かったりします。そういう土地土地の空気、匂い、香りがあるんですよね。喫茶店はそういった「まちの香り」を嗅ぎ分けるのに、実にピッタリな場所なのです。
 

2. ご当地食堂・居酒屋

ご当地度:★★~★★★★
一期一会度:★★★~★★★★★
アクセス度:★★★★★

喫茶店もいいですが、今日はガッツリいきたいな、もう少し腹にたまるものがほしいな、そんなときもあるかと思います。そんなときはご当地食堂・居酒屋に入ってみましょう。ここでいうご当地食堂・居酒屋というのは、(もちろん全国チェーンではなく)地場でやっている、個人経営の小さな食堂や居酒屋のことをいいます(*1)。イメージとしては、「孤独のグルメ」で井之頭五郎が入るようなお店ですね。まぁ、よほど山奥でもない限りは、どこにでもあるかと思います。

ご当地食堂・居酒屋には、全国チェーンとは違う、それぞれのお店が趣向を凝らした独自のメニューがあります。壁一面に貼られたメニュー、黒板に書かれた「本日のおすすめ」…、それだけでもワクワクしてきますよね。井之頭五郎も、毎回メニューの森を彷徨っていますが。私も、あの彷徨う時間が大好きです。

・このお店のウリは何かな?このへんかな?
・定番メニューもいいけれど、せっかくだからオリジナリティーのあるものを頼んでみたいな…。

そうやって、あれこれ考える時間が大好きです。お店によっては、オリジナリティーというか、何だこれ?って感じのメニューもありますよね。例えば、

~ Menu ~
・牛すじトマトカレー餃子 380yen
・まぐろサーモン納豆丼 880yen
・へしこめんたいチーズピザ 1,180yen
・アボカドとアスパラのイタリアンうどん 680yen
・スパイシーいちごミルク 380yen
, etc.

みたいな。そういうメニューに果敢に挑戦してみるのもいいですし。あえて定番メニューを頼んで、お店の実力を測ったり、微妙な味の違いを楽しんだりするのもいいでしょう。お店の味は一期一会の出会いです。そこにしかない味を存分に楽しんでください。

それと…。地域に根ざしたご当地食堂・居酒屋には、お店によって、ご当地ならではのメニューがあったりもします。いわゆる「ご当地グルメ」ですね。例えば、熊本の居酒屋で馬刺しが出てきたり、愛媛のうどん屋でじゃこ天が出てきたり…、そういうのですね。これは地域によっていろいろ、実にさまざまなバラエティーがあります。そういう食のご当地性は、ぜひとも楽しんでいただきたいところ。何か「地のもの」があったら、ぜひとも頼んでみてください。

とはいえ、そんな都合よく「地のもの」なんて見つからないよ!なんてこともあるかと思います。そういうときのヒントをお伝えしましょう。実は、一見どこにでもあるメニューのなかにも、地域性の出やすいものが結構あります。

例えば刺身(お造り)。地域によって水揚げされる魚が違うので、当然盛り付けられる具も変わってきます。また同じ地域でも、季節によっても変わってきますね。そのため結構、「一期一会」的なバリエーションがあるといえます(これは、寿司でも同じことがいえます)。

次にうどんやそば。えっ、どこでも同じじゃん!なんて思いがちですが、意外とそうでもありません。例えば、何の変哲もないシンプルなかけうどん。この1杯であっても、関西と関東ではつゆ(だし)の色が違いますし、ネギの色も違うのです。

◯ 関西と関東、うどん・そばの違い
・関西: 昆布だし/薄口醤油/青ネギ
・関東: 鰹だし /濃口醤油/白ネギ

もちろん地域によっては、もっと分かりやすい特徴があったりします。うどんだったら、伊勢うどん、かすうどん(大阪)、ひもかわうどん(群馬)、――いろいろありますよね。そばだって、まぁいろいろある。

◯ どこにでもあるけど、意外と地域性の出やすいメニュー
・刺身・寿司
地域によって水揚げが違うので、具(ネタ)が違う(刺身・寿司に限らず、海鮮系は割と地域性が出やすい)。
・うどん・そば
だしや具材など、一見違いがないように見えて、意外と違う。
・おでん
具材はもちろん、だしやたれ、薬味など、地域によって結構違う。
・味噌汁
地域によって、使う味噌の種類が違う(米味噌、豆味噌、麦味噌など)。

こういった、細かな違いに敏感になっておくと、楽しみの幅も拡がっていきますよね。

*1 ちなみに、「さわやか」「資さんうどん」のようなご当地チェーンも十分アリだと思います。それなりに楽しめます。

3. お惣菜屋

ご当地度:★~★★★★
一期一会度:★★~★★★★★
アクセス度:★★★

ご当地食堂・居酒屋もいいですが。もうちょっとサクッと食べたい、お持ち帰りしたい、といった場合にはお惣菜屋さんがおすすめです。ちょっと変わった創作料理や、その地ならではの郷土料理に出会えるかもしれません。ほら、地魚の焼きものとか、ワクワクするでしょ?あるいは、漬物屋とか佃煮屋とか、そういうところでもいい。

4. 銭湯(公衆浴場)

ご当地度:★~★★★
一期一会度:★★★~★★★★★
アクセス度:★★~★★★★

日本の観光に温泉は付きもの。でも、近くに温泉はないなぁ~、そんなこともありますよね?そんなとき、温泉はなくても、近くに銭湯ならあるかもしれません。ここでいう銭湯とは、いわゆる「公衆浴場」のこと。高い煙突があって、富士山のペンキ絵があって、コーヒー牛乳が飲めるような…。そういう昔ながらのお風呂屋さんのことです(*2)。経営が厳しく数は減っているものの、今でも都市部にはそれなりにあります。小さな地方都市(5~10万人くらい)にも1軒くらいはあるかな…?

人によっては、銭湯なんて、どこでも一緒じゃないの?などと思われるかもしれませんが。――そんなことはありません!銭湯は個性豊か、実にバラエティー豊富です。

まずは外観。銭湯は昔に造られたこともあって、ちょっとユニークな凝った建築が多いです。「宮造り」と呼ばれる、お寺のような造りの銭湯があったり。かと思えば、洋風建築の銭湯もあったり…。高い煙突がそびえていたりもしますね。

では、なかに入って内装を見てみましょう。レトロな下駄箱に靴を入れ、出迎えてくれたのは番台でしょうか、フロントでしょうか?脱衣所に入ると、立ち並ぶロッカーやカゴのほか、レトロな体重計やマッサージチェアがあったりします。

服を脱ぎ浴室に入ると、バラエティー豊かな浴槽がお出迎え。白湯、ジェットバス、薬湯、電気風呂…、いろいろありますね。お店によっては、サウナ(+水風呂)があったり、露天風呂があったりもします。浴槽の温度もそれぞれ…、熱めだったり、ぬるめだったり。壁の方に目をやると、ペンキ絵やタイル絵があって、目を楽しませてくれることもあります。こんな感じで、銭湯にはさまざまなバラエティーがあります(1軒として同じ店はない!)。

ここからは地域性(ご当地性)の話を…。温泉には、泉質という地域性がありますが。銭湯には、泉質とはまた別の地域性があります。

例えば、浴室の構造。関西では、浴槽が浴室の中央部にある場合が多いのですが。関東では、浴室の奥(洗い場の奥)にある場合が多いのです。ほかにも、浴室の壁は関西ではタイル(タイル絵を含む)が主流、関東ではペンキ絵が主流、といった違いがあります。

◯ 関西と関東、銭湯の主な特徴
・浴室の構造(浴槽の位置)
関西:浴槽を浴室中央部に配置、浴槽の周りに腰掛け用の段があることも
関東:浴槽を浴室奥(洗い場奥)に配置
・浴槽の温度
関西:ぬるめ(40度前後)が主流
関東:熱め(42度前後)が主流
・浴室壁面
関西:タイル、タイル絵が多い
関東:ペンキ絵が多い
・建物(建築様式)
関西:洋風建築が多い
関東:和風建築、唐破風を備えた宮造りが多い
・玄関の暖簾(のれん)
関西:長めが多い
関東:短めが多い

銭湯へ行ったら、こういった地域性もぜひ楽しみましょう。お風呂あがりは「ご当地サイダー」を飲むのもいいですね。

さらにさらに!地域によっては、温泉を引き入れている銭湯、いわゆる「温泉銭湯」があったりします。鹿児島市周辺の銭湯なんか、大体はコレですね(うらやましい)。公衆浴場料金で温泉に入れて、おトクな気分になれますよ。

*2
1) 厳密には「公衆浴場法」による定義がありますが、ここで詳しく解説する必要はないでしょう。ただ、素人目に分かりやすい指標としては、価格統制によって料金が低く抑えられている点が挙げられます。
2) ちなみに「スーパー銭湯」に関しては、決してナシではないのですが、お店の個性やご当地感という観点では、やや評価は下がります。

5. 古書店(古本屋)

ご当地度:★~★★★
一期一会度:★★★★~★★★★★
アクセス度:★★~★★★★

皆さん、本はお好きですか?――好きだ!という方にぜひおすすめしたいのが、古書店です。ここでいう古書店とは、いわゆるまちの「古本屋さん」。個人経営で、店主の個性が品揃えに表れるような、そういうお店です。狭いのに本を置きすぎて、足の置き場に困るような、そういうお店です(*3)。古書店は文化性というか、文化の蓄積そのものですので。地方や郊外には少ない、という難点はありますが。大都市圏や政令市あたりなら、それなりにあります。

古書店は(新刊書店とは違い)品揃えなどに非常に個性があります。例えば、文芸書が多いお店もあれば、歴史書が多いお店もある。医学書が多いお店もあれば、法律書が多いお店もある。そんな感じで、お店によって得意ジャンルがまるで違うのです。なかには、洋書専門とか絵本専門とか、「山の本」専門とか…、そういうお店もあったりします。ジャンルが(自分の趣味嗜好に)ハマれば、すごいお店になりますよ。

まぁ、どんなジャンルに関わらず。そこまでジャンル特化しておらずとも…。店主のこだわりを反映した、独自の品揃えには舌を巻くものです。あぁ、これは素晴らしい、よく集めたなぁ…。そういう感情が湧いてくるものです。古書店には、そのお店の色みたいなものがありますが。こだわりが、そういうものを生み出しているのでしょう。

新しい本は新しい本でいいのですが。古書店の何がいいかというと、「一点物」が手に入る、ということが挙げられます。古書店には、新刊書店では出会えないような昔の本、マニアックな本が多くあります。江戸時代の医学書、アラビア語の小説、戦時中の海軍資料、海外のSM雑誌…、いろいろありますね。それらの本は、ほかの場所ではなかなか手に入らない、貴重な一点物です。そこで買わなければ二度と買えないかもしれない、そういう一期一会の出会いなのです。

古本なんて、一部の稀覯本・プレミア本を除けば、そんなに高くはない(数百円~2000円くらいが多い)ですから。軽い気持ちで、1冊や2冊買ってみるのも悪くはないでしょう。それが自分だけの「お宝」になると思えば、決して高くはないと思いますよ。

次は地域性(ご当地性)のお話。古書店に地域性なんてあるの?と思うかもしれませんが。実はちょっとあったりします。――はい、郷土資料ですね。郷土資料。地域の地理(地誌)や歴史に関する書籍、郷土を舞台にした文学作品、各種自治体の資料(市史、地域統計など)…、いろいろあります。古書店には、このような郷土資料が結構あります。当然のことですが。大阪の古書店には大阪の本、福岡の古書店には福岡の本というように、その土地にはその土地の本があるのです。皆さんも、探してみてはいかがでしょうか?ぶっちゃけ、薄っぺらい旅行ガイドを買うくらいなら、郷土史の1冊でも買って読んだ方が、よっぽどその土地のことが分かりますよ。旅先で郷土資料を漁るの、旅の上級者って感じがしていいですよ(えっ、よくない?)。

*3 ちなみに「ブックオフ」のような新古書店も悪くはないのですが、やはり品揃えなどお店の個性は落ちてしまいます。

6. 古着屋

ご当地度:( ‐ )
一期一会度:★★★★★
アクセス度:★★★★

古書店(古本屋)もいいですが。一期一会の出会いという観点では、古着屋もおすすめです。よく分かんないアメカジとか、買ったりしてね。コスパじゃないんだ、好きだから買うんだ!というのも悪くはないと思います。古着には、量産型ユニクロにはない味わいがあります。そういう味わいをぜひ楽しんでください。ちなみに、地域性とかご当地感とか、そういうものは特にないです。
 

7. 骨董屋・アンティークショップ

ご当地度:( ‐ )
一期一会度:★★★★★
アクセス度:★★★

一期一会の出会いといえば、骨董屋やアンティークショップもアリでしょう。狭い店内に所狭しと並べられた「訳の分からないもの」には、見るだけで心躍るものがあります。これ、何に使うの?とか、日本にはないデザインだな…とか、家の家具に合うかな~?とか、思いながら店をまわるとすごく楽しいですよ。

今の世のなかは、実用性やコスパといったものばかり求めがちですが。骨董やアンティークには、そういったものとは違う価値があります。この皿が、オレに語りかけてくるんだ!みたいな。この輝きは、この皿にしかないんだ…!みたいな(いや、決してネタではなく…)。あなたの人生を真に豊かにしてくれるのは、そういったものではないでしょうか?あなただけの価値をぜひ見つけ出してください。

8. 和菓子屋

ご当地度:★★~★★★★
一期一会度:★★★~★★★★★
アクセス度:★★★★

旅のお土産の定番といえば、お菓子ですね。特に和菓子。大体どこの地方にも、その土地の「銘菓」なるものがあるはずです。という訳で。旅先で目ぼしいものがないときは、和菓子屋を探しましょう。小さくてもいいです、有名じゃなくてもいいです、和菓子屋を探しましょう。

和菓子屋さんには、実にいろんなお菓子があります。定番のお菓子(大福、最中など)もあれば、季節ならではのお菓子(柏餅、水無月など)もあります。なかには、洋風テイストの和菓子(生クリームどら焼きなど)なんかもあったりします。そういったバラエティーをぜひ楽しみましょう。特に季節や年中行事のお菓子は、そのときにしか食べられないので、(タイミングが合えば)ぜひいただきましょう。

和菓子屋は、その多くが家族経営など小規模事業者です。土地や家に根差して、細く長くやってきたようなお店です。そのため和菓子屋には1軒1軒、それぞれお店の個性があります。例えば大福。大福1つとっても、あんこの甘さから餅のかたさから、全然違います。ウチはこの甘さ、ウチはこのかたさ、粒あんの具合は…と、それぞれです。

また、当然お店によって得意分野(主力商品)も違います。饅頭を売りにするお店もあれば、どら焼きを売りにするお店もあります。ウチはみたらし団子だ!というお店もあれば、ウチはフルーツ大福だ!というお店もあります。そんな感じで、和菓子屋さんにはいろんな個性があります。1軒1軒、その違いを楽しんでみてください。

和菓子にはご当地モノが多いです。例えば、伊勢なら赤福、京都なら八つ橋、そういうのですね。そういうご当地の味わいを楽しむのもいいでしょう。お菓子によって、ご当地の歴史や物語に由来するもの、ご当地の名産(果物など)を使ったもの…、いろいろあります。

◯ ご当地の歴史や物語に由来するお菓子
・梅ヶ枝餅:太宰府に左遷された菅原道真に由来。
・反魂旦:越中売薬商、丸薬の「反魂丹」に由来。

◯ ご当地の名産(果物など)を使ったお菓子
・岡山のマスカット大福
・和歌山の梅もなか・柚もなか
・小布施の栗きんとん

もっと身近なところにも、地域性はあります。例えば桜餅。関西と関東では、見た目も味も食感も、ぜーんぜん違うことで有名ですね。関西の桜餅(道明寺)は、もち米が原材料の「道明寺粉」であんこを包み込むスタイル。見た目としては、おはぎみたいな感じですね。一方、関東の桜餅(長命寺)は、薄く焼いた小麦粉の生地をあんこに巻き付けるスタイル。見た目としては、クレープみたいな感じですね。

次にくず餅。関西のくず餅は、葛粉(+水、砂糖)を火にかけて練ったもので、透明でぷるんとした食感が特徴です。一方、関東のくず餅は、小麦でんぷんに湯を加えて蒸したもので、白っぽくもちもちした食感が特徴です。形は、三角形や四角形に切り分けてあります。

ほかにも、いろいろありますね。

◯ 関西と関東、和菓子の主な特徴
・桜餅
関西:道明寺粉であんこを包むタイプ、おはぎみたい
関東:薄く焼いた小麦粉の生地で巻くタイプ、クレープみたい
・くず餅
関西:葛粉を火にかけて練るタイプ、透明でぷるんとした食感
関東:小麦でんぷんを蒸すタイプ、白っぽくもちもちした食感
・三色おはぎの三色目(*)
関西:青のり
関東:黒ごま
東北南部:ずんだ
・端午の節句に食べるもの
関西:ちまきが多い
関東:柏餅が多い
・すあま
関東(というか東日本)にしかない

*三色おはぎの一色目はあんこ、二色目はきな粉が一般的です。

遠出した際には、こういった違いを楽しむのもいいでしょう。

9. 洋菓子屋・パン屋

ご当地度:★
一期一会度:★★★~★★★★★
アクセス度:★★★★★

和菓子屋みたいに、ご当地的な何かはあんまりないですが。お菓子系がいいなら、洋菓子屋やパン屋を探すのもアリでしょう。旅先で、ちょっと甘いものが欲しくなるとき、ありますもんね。そういうときに、ふらっとお店に入るのは悪くはないです。ちなみに私は、洋菓子屋でショーケースを前に吟味するのも、パン屋でトングをカチカチして回るのも、大好きです(皆さんも好きですかね?)。それに…。その日の気分で「あんこじゃない、生クリームが欲しい」とか、あるでしょうしね。やはり、その日そのときに食べたいものが一番いいです。
 

10. ご当地スーパー(ローカルスーパー)

ご当地度:★★~★★★★
一期一会度:★★★
アクセス度:★★★★★

ご当地ならではのものが見たい、ご当地ならではのものが欲しい!そんなときは、お土産屋とか道の駅とか、探したりしますね。とはいえ、いつもそう都合よくあったりはしませんよね。そもそもお土産屋とか、観光地にしかありませんし。道の駅とか、田舎にしかありませんし…。

はい、そういうときに役立つのが「ご当地スーパー」です。ここでいうご当地スーパーとは、福井なら福井、三重なら三重というように、それぞれの地域で商っているローカルなスーパーをいいます(*4)。皆さんのお近くにも…、地元に数店舗しかないチェーンとか、あるでしょう?そういうところです。

全国どこでも同じものが買える時代、スーパーなんてどこでも同じでしょ?なんて思いがちですが。実はそうでもありません。今でもスーパーには、地元でとれた魚や野菜、地元メーカーの醤油など、ご当地ならではの商品がたくさんあります。そういった商品を探して回るだけでも、十分に楽しめます。ちょっとした宝探しみたいなもんです。

えっ、そんなもんある?という方は、普段探す気がないだけです。よ~く売り場を見渡してください、よ~く陳列棚を見回してください。ありますから。絶対どこかにありますから。とはいえ…。いくつかは(ご当地商品を)探すときのポイント、見つけやすいジャンルなどもありますので。まずは、そのあたりから解説していきましょう。

(1) ご当地商品の探し方のポイント

ご当地商品の探し方には、いくつかポイントがあります。

1) 見慣れなさに注目

ご当地商品を見つけ出すポイントは「見慣れなさ」です。具体的にいえば、(商品を見て)味が想像できないとか、どう調理していいか分からないとか、そういうのですね。何の物体か分からない、でもOKです(むしろ理想)。売り場を見て、そういった何か見慣れないものがないか、探してみてください。ありますでしょう?名前の知らないキノコとか、調理法の分からない貝とか、何かクセの強そうな色の味噌とか、かまぼこか豆腐か分からない何かとか。そういう見慣れなさに注目してみてください。

2) 懐かしさに注目

次のポイントは「懐かしさ」です。懐かしさを感じる売り場には、ご当地商品が多いです。具体的には乾物とか、練り物とか、漬物とか、和惣菜とか。そういった懐かしさを感じる売り場は要チェックです。だって、伝統食ですからね。その土地で育まれた伝統がある。同じお菓子でも、米菓コーナーとスナック菓子コーナーじゃ違いますよね。

3) 生鮮食品は産地に注目

これだけ流通が発達した現代でも、生鮮食品にはご当地性が出やすいです。お店によっては、産直野菜コーナーとかあったりしますもんね。やはり、生鮮品で分かりやすい指標は「産地」です。産地を見てください。ありますでしょう?その土地のものが。鮮魚売り場なんか、必ずあると思っていい…(内陸県はともかく)。名前すら知らないヤツも、結構いますよ。

4) 加工食品はメーカー名に注目、原料となる名産品に注目

一方、加工食品は「メーカー名」に注目です。日本の地方には、あまり知られていない、小さなメーカーがたくさんあります。特に調味料系なんかは顕著で、スーパーにも、地場のメーカー商品がたくさん置いてあります。陳列棚を見回してみると、結構聞き慣れないメーカー名があるはずです。そういった名前には注意しましょう。例えば、九州の醤油だったら…。フンドーキンとか、チョーコーとか、いろいろありますね。何も、キッコーマンだけが醤油じゃないんだ。そういった(考えてみれば)当たり前の事実に気付くはずです。また、もし可能であれば、事前に目ぼしいメーカーを調べておくのもいいでしょう。

もう1つ。加工食品の場合は、原料となるその地域の名産品にも注目です。例えば、レモンが名産なら、レモンを使ったご当地ドレッシングがあるかもしれない。牛肉が名産なら、牛肉を使ったご当地レトルトカレーがあるかもしれない。そういう発想です。じゃあ鯖だったら?玉ねぎだったら?――いろいろ考えられますね。そうやって、その土地の名産から何がありそうか、予想を立てることもできます。まぁ、予想までしなくても、その土地の名産を頭に入れておくだけでも、結構違います。棚を見回したときのセンサーのはたらきが違います。ご当地商品、発見しやすいです。

(2) ご当地商品を見つけやすいジャンル

広い売り場のなかでも、いくつかご当地商品を見つけやすいジャンルがあります。

・調味料(醤油、味噌、ポン酢、だしなど)

調味料系はかなりご当地色が出やすい。九州に行ったら醤油が甘いとか、関西に行ったらポン酢の種類が多いとか、どこへ行っても何かしら発見がある。ちなみに、洋モノな感じのするドレッシングにも、名産の野菜や果物を使ったご当地商品が多くある。

・レトルトカレー
近年は、ご当地レトルトカレーの種類が非常に増えている。和牛の産地など、ほぼ必ず商品化されているような気がする。価格はちょっとお高めだが、お持ち帰りしやすく、お土産には非常に便利である。

・カップ麺

たまーに、ご当地カップ麺もある。ただし、保存・運搬しやすいからか、ご当地以外でも結構売ってたりする。

・乾麺

乾麺というと地味だが、ご当地商品の宝庫である。土地土地のそばやうどん、そうめんなどが多く商品化されている。お持ち帰りしやすいのも利点。乾麺に限らず、乾物系は地域の伝統食品が多いので要チェック。

・鮮魚(魚介類)

わざわざ言うまでもなく、鮮魚はご当地性バリバリ、地のものだらけである。ちょっと海沿いに行けば、名前の知らない魚、調理法が分からない魚に普通に出会える。出先で調理が難しいなら、刺身を買ったり、お店で調理してもらうのも1つの手。

・練り物(かまぼこ、すり身揚げなど)

いわゆる練り物系も、かなりご当地色豊か。一見似たようなすり身揚げでも、使っている魚の種類が違ったりして、味も食感も全然違う。地域によって「天ぷら」とかいうアレ、大体面白いので要チェック。

・豆腐・納豆(日持ちしない大豆製品系)

豆腐や納豆など、日持ちのしない大豆製品はご当地メーカー多し。地味な見た目に反し、個性派ぞろいなジャンル。あと、値の張るヤツはやっぱり美味しい、そういうジャンルでもある。

・お漬物

お漬物は地域の伝統食、保存食。地場のメーカーもそこそこある。ただ、多少クセの強いジャンルで、好みは分かれるかもしれない。

・お惣菜

昔ながらの郷土料理、最近流行りのB級グルメ…、いろいろある。全国的に見えて、地域の食文化が混じっている。買ってすぐ食べられるのもいい。

・お菓子(米菓、和生菓子など)
お菓子、特にせんべいなど和モノお菓子にはご当地商品が多い。素朴な味、どこか懐かしい味、でも不思議と新しい味。そういう味がたくさんある。ババくさいなんて言わないで、まずは試してみて。

はい、結構長々と書いてしまいましたね。ただその分、ご当地スーパーの楽しみ方は分かったかと思います。別に旅先でなく、まずは近所の行きつけのスーパーで楽しんでみるのも、アリかもしれません。

*4 「イオン」のような全国チェーンでも楽しめないことはないですが、ご当地商品の品揃えはやや劣る傾向にあります。


以上、ご当地スポット10選でした。いかがでしょうか?これで近くに観光地がなくても、持て余すことはなくなるはず。その土地ならではの経験もしっかりできるはず…。最後に、番外編として「路上観察スキル」のお話をして、この記事を終えましょう。

【番外編】路上観察スキルについて

世のなかには「路上観察家」と呼ばれるような人たちがいます。その人たちはわざわざお店に入らずとも、【路上の何か】を観察して楽しんでいます。例えば、道路標識の微妙なデザインの違いを見て楽しんだり、電柱の微妙なパーツの違いを見分けて面白がったり…。はい、訳が分かりませんね。もう少し、分かりやすい例を挙げますと。建築に詳しい人は、そこらへんの建物を見ているだけで楽しいとか。植物に詳しい人は、雑草を見ているだけで楽しいとか。そういうヤツです。

そういう「路上観察スキル」を身に付けておくと、そこらへんの何てことのないまち(街)でも楽しく過ごせるようになります。とはいえ、いきなり電柱を見てニヤニヤしたり…、はできませんよね。そこで今回は、素人でも比較的楽しめそうな路上観察ジャンルを5つほど、ご紹介します。何気ないまちが楽しくなる、そういうヒントとしてご活用ください。

① 記念碑・歴史案内板

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その土地の歴史を後世へ伝える碑や案内板。近くにないようで意外とある。読めば、土地土地の歴史に思いを馳せることができる。

② マンホールのふた

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地域(自治体など)によってデザインが全く違う。地域の名所・名物を描いた、ご当地色溢れるものが多い。非常に凝ったデザインで、それはまるで「路上の芸術」。

③ ブロック塀(透かしブロック)

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ブロック塀のなかには「透かしブロック」という、穴の開いた装飾性のあるブロックが混じっている。無機質なブロックのなかに、遊び心を与える存在。

④ 女子中高生の制服

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セーラー服からブレザーまで、今風の洗練されたものから昔ながらのレトロなものまで、バリエーション豊か。1校として同じものはない。着崩し加減も校風のうち。

⑤ 路上園芸

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家の玄関先の鉢植え、外壁を這うツタ、側溝に生えた雑草など、路上の何気ない園芸空間。よく手入れされたものから、偶然が育てたものまでいろいろある。

以上、長々とやってきました。ではでは、今回はこのへんで…。