ひきこもり科学館

つれづれなるままに、ひきこもり、硯にむかひて

地理学専攻として「地理好き・地理オタクあるある」を考えてみた

皆さん、地理はお好きですか?ー私は大好きです。大・大・大好きです!今回は、大学・大学院と地理学を専攻し、地理にどっぷり浸かってきた私が「地理好き・地理オタクあるある」を考えてみました。同業者の皆さんで「あるある」「ないない」で盛り上がるのはもちろん、これから地理関係で進学を考えている皆さんのご参考にでもなれば…、と思います。それでは、はじまり、はじまり~。

・地図が好き。地図を読むのが趣味。
 ・googleマップを見ると、気づいたら1時間は過ぎている。
  ・初めてストリートビューをみたとき、感動した。
  ・googleマップを辿りながら、仮想の旅に出ている。
 ・歴史好きの人は古地図、絵図も好き。
  ・写実的な現代の地図とは違った「よさ」がある。
  ・当時の都市のすがた、人々の暮らしに思いを馳せる。
  ・ときどき、「あっ、被差別部落だ!」なんて気付くことも。
   ・よ~く見ると、当時のムラの社会、権力関係などが浮かび上がってくる。
  ・絵図の記載事項、描き方から、この絵図の作成意図は何だ?と考えてみる。
  ・昔の地図と今の地図を見比べて、違いを考察するのが好き。
 ・地図に、縮尺や方位記号が載っていないと「何だよコレ」と言いたくなる。
  ・というか、地理学の学生なら先生から必ず言われる。
  ・縮尺と方位記号はまともな地図の最低条件。
  ・地図の北を「上」とか言わないでほしい。当然、東を「右」、西を「左」とか言うのもやめてほしい。
   ・もはや「左上」なんて言われた日には、何とも言い難い、救いようのない気持ちになる。

・学生のころ、(他の教科書は見ないのに)地図帳は穴があくほどよく見ていた。
 ・県勢のページを右から左へ、上から下へ辿りまくっている。
 ・県名と県庁所在地なんて余裕で憶えている。
  ・それどころか、各県の人口第2~3位都市くらいはだいたい憶えている。
 ・旧国名(律令国)も結構憶えている。
  ・加越能バス→「加賀」+「越中」+「能登」ね、とすぐに分かる。
  ・長野県などはあえて「信州」という。
  ・シチュエーションやニュアンスに合わせて、都道府県名と旧国名を使い分ける。
 ・世界の国名・首都名の暗記にもチャレンジ。
  ・しかし、アフリカがなかなか憶えられない。
  ・なかには、アメリカの州や中国の省まで憶える猛者も。

・鉄ちゃんがやたら多い。
 ・噂では、地理学者の半数は鉄ちゃんだとか。
  ・学会のついでに、鉄ちゃんオフ会もできなくはない。
 ・時刻表は最高の暇つぶしツール。
 ・路線図をPCの壁紙にする。
 ・青春18キッパーも多い。
  ・近年は並行在来線に怒りを覚えてしまう。「北陸本線なしで、北陸をどう旅するんだ!」とか、「しなの鉄道ぅぅぅ…orz」とか。
 ・鉄道会社に就職したい(したかった)。
 ・鉄道に限らず、道路やバス、飛行機など、交通系オタクが多くいる。
  ・基本、乗り物が好き。
   ・車窓が大好き。電車やバスは窓側がいい。
    ・電車の先頭車両も好き。子どもみたいにかじりつきたい。

・ほかにも、兼業オタクが多い。割と多いジャンルとしては、
 ・土木・建設系オタク
 ・都市開発・都市計画系オタク
 ・建築、文化財、歴史遺産系オタク
 ・観光・まち歩きオタク
 ・地形・地質オタク(いや、これは普通に地理オタクか?)

・そのほか、登山好き、アニメ好き、写真・カメラ好きも多い(気がする)。

・地理学には、いろんなオタクを受け容れる懐の深さがある。

・何にせよ、オタク気質の人が多い。モテない。
 ・大学の地理学科はオタクの巣窟。
 ・文学部は女性比率が高いのに、地理学科は男ばかり…。なぜだ⁉
  ・近年、ちょっとは女性が増えてきた感じで嬉しい。

・映画やアニメの舞台が気になる。つい特定してしまう。
 ・実際に舞台に行きたくなる。暇さえあれば行ってしまう。

・地名が好き。地名の由来が気になる。
 ・「浮気町」など、出先で変わった地名を見つけてはニヤニヤする。
 ・難読地名をわざわざ覚えようとする。 
 ・ニュータウン開発などで、昔の特色ある地名が消えてしまうのが残念でならない。
  ・○○台とか、○○ヶ丘とか、もういいよと思う。
  ・個性を出そうとすると、なぜか没個性になる不思議。
 ・しりとりの答えが地名。
  ・その気になれば「地名しりとり」もできそう。

・旅行が好き。
 ・国内外問わず、行きたいところがありすぎる。
 ・休日が足りない。有休が足りない。
  ・(時間さえあれば)世界一周クルーズに出たい。
  ・老後は、お遍路さんに行きたい。
   ・東海道・中山道ウォークもいいかも。
 ・誰もが行くメジャー観光地もいいけれど、知る人ぞ知るマイナー観光地も行きたい。
  ・B級スポットが好き。
  ・路地が好き。路地を歩きたい。
  ・「誰が行くの?」って感じの小さな博物館・美術館が好き。
   ・一軒家に毛が生えた感じのとこ、ビミョーに入館料が高くて逡巡する。

・巡検(という名の旅行)が好き。
 ・普通にまちを歩いているだけで、自然と巡検になってしまう。
  ・外回り営業マンとか、巡検しまくり…。
  ・食事どころを探しながら、巡検もしている。

・引っ越しも好き。
 ・というより、見知らぬ土地へ移るのが好き。
  ・何年か同じところに住んでいると、どこか別のところへ引っ越したくなる。
   ・近場で引っ越すにしても、鉄道沿線を変えるとか、何かしら気分を変えたくなる。
  ・「引っ越し貧乏」になる。
 ・「転勤族」もあながち悪くない気もする(家や所帯さえ持ってなければ)。
  ・社宅とか住宅手当とか、その辺の面倒をみてくれる会社なら、転勤もいいよね。

・休日は、とにかくどこか外に出たくなる。
 ・最近は耳にしなくなった「クルマ道楽」も、しっかりやっている。
  ・道の駅やSA・PAが好き。とにかく寄りたい。
   ・ご当地ソフトクリームやご当地コロッケがあると、つい買ってしまう。
 ・とはいえ、運転が苦手な人もちらほらいる。

・出先で、地形や地質が気になる。
 ・ブラタモリのタモリさんの眼でまちを歩く。
 ・高低差や水の流れに敏感。
  ・「おっ、これは河岸段丘!」「この道、昔は川だったな」「暗渠だ!」「この段差…、埋立地か?」など、謎のセンサーがはたらく。

・人のことを、名前よりも先に出身地で憶える。(脳が)出身地でタグ付けする。
 ・「出身地トーク」が好きだ、得意だ(というか、それくらいしかネタがない)
  ・ときどき、地元の人も知らないようなことを平気で知っていたりして、驚かれる。
 ・初対面の人には、つい出身地を訊いてしまう。
  ・都道府県名では満足できず、市町村名まで訊く。
   ・特に、合併後の自治体ならなおさら。「東近江市」なんて言われても分からなない(八日市とか、能登川とか、永源寺とか、言ってほしい)。
 ・方言や訛りから出身地を推測する。
  ・方言に特色のある地域をうらやましく思う(by大都市近郊民)。

・ドライブデートで地理トーク・地理うんちくが止まらず、彼女に引かれてしまう(まれに、好かれることもある)。
・やたら道に詳しい。タクシー運転手並みに詳しい。
 ・普段から、最短ルート、最速ルートなど、ルート開拓に余念がない。
 ・初めて行く場所でも、ある程度の場所・方向感覚があるので、そんなに迷わない。
  例)「この先国道に出て、西の方に進めばいいな」「とりあえず、◯◯駅の方を目指せばいいな」など。
 ・道に迷う人、方向音痴の人のことが理解できない。なぜ道に迷うのか分からない。
  ・まれに自分が道に迷うと、普段迷うことがない分、ものすごく焦る。

・平成の大合併で、地域区分が大雑把になり、地域分析がやりにくくなった。
 ・時系列分析で、合併前と合併後のデータを合わせるのが面倒くさい。
 ・広域合併後の自治体は、広すぎて地域の特色が見えにくい(薄まった)。

・古今書院は超有名。地理の出版社といえば古今書院。
 ・法学部でいう、有斐閣のような存在感(えっ、分かりにくい?)。

・書店に、まともな地理書売場がないことに怒りを覚える。
 ・歴史書はちゃんとしたコーナーがあるのに(この格差は何だ⁉)。
 ・地理書は都市工学、社会学、国際関係、民俗学、郷土史、地学など、いろんな売場に散り散りになっているので、探すのがめちゃめちゃ面倒臭い。
 ・国土地理院の地形図を置いているかどうか、で本屋の格が決まる。全国分、網羅している書店は一級。近郊地域のみ置いてある書店は二級。

・社会科は得意教科。
 ・といっても、歴史や公民もあるので人によってムラがある。
  ・日本地理と世界地理でも、ちょっとムラがある。
  ・地歴公民全部好き、という人はなかなかレアだと思う(教員含めて)。
   ・地理嫌いの教員が地理を教えている現状は、本当に嘆かわしい(地理嫌いの生徒を再生産しないか、心配だ)。

・大学受験は地理で乗り切った。
 ・地理は、日本史・世界史より暗記事項が格段に少なく、勉強がラク。
  ・地理が暗記科目な訳なかろう。なぜそんな風に思うのか?
 ・地理が苦手、できない、などとのたまう人の存在が理解できない。
 ・高校や学科によっては、なぜか地理が履修できなかったりして困る。
  ※2022年より、地理は必修化されます。やったね!
 ・理科は地学で乗り切る。
  ・といっても、地学(なんて超マイナー科目)を履修させてくれる学校は少ないので、独学になる。
 ・世間的には、地学⁉そんな科目あったの?という存在感で、極めて遺憾。
  ・高校地学は冷遇されすぎだと思う。

・社会科教員を志望する・していた人多数。
 ・ただし、かなり狭き門(近年は、ちょっと拡がってきているとか)。
 ・いざ教員になって、実際に教えるのは歴史・公民。
  ・社会科全部好き・得意って人、なかなかいないと思う(倫理って何よ?)。

・地方公務員志望も割と多め。
 ・まちづくりや都市計画に携わりたい!
 ・が、入ったはいいものの、全然違う仕事ばかり…。
  ・お役所は「何でも屋」すぎて、やりたい仕事はまずできない、という現実にぶち当たる。
   ・行政職、ぐるぐるジョブローテーション。

・もし自分の地元が首都になったら…、と考えたことがある。

・「架空地図」や「妄想都市」を描いたことがある。
 ・(物心ついた頃から)自分の理想のまちをつくりたい、という欲求がある。
  ・その欲求が謎の創作物を生み出す。
 ・鉄ちゃんなら、架空路線図を描いている(はず)。
 ・「シムシティ」が好き。これほど、我が欲求を満たすゲームはない。
  ・理想のまちづくりも、ちょっと無茶なまちづくりも楽しい。
  ・このゲームを考えた人、絶対地理好きだろ!と思う。

・自分で道州制区割り案を考えたことがある。
 ・誰しも(想像で)都道府県を合併・分割してみたことがあるはず。えっ、ない?

・首都(機能)移転や副首都構想は、妄想が膨らみまくって楽しい。

・地理学って、世間にかなり誤解されていると思う。
 ・少なくとも、山や川の名前を暗記するような浅はかな学問ではない。
 ・文系/理系に分けられるような学問でもない。
  ・大学の地理の先生は、文学博士と理学博士がカオスに入り混じっている。
 ・もっと、私たちの生きる世界(空間や地域、環境)を見てほしい!感じてほしい!考えてほしい!それが、私たち地理好き共通の願い。

・タワーや展望台が好き。高所から景色を眺めるのが好き。
 ・馬鹿と金持ちと地理好きは、高いところが好き。
 ・つい写真を何枚も(余計に)撮ってしまう。
  ・昼間に行くのもいいけれど、夜に行って夜景を撮るのもいい。

・お土産が好き。遠出したら、必ずお土産を買う。
 ・なるべく、ご当地感のあるものがいい。ここへ行った!と分かるものがいい。

・ご当地グルメ、ご当地銘菓、民芸品、駅スタンプ…、とにかくご当地モノが好き。
 ・カントリーサインやご当地ナンバー、マンホール蓋も好き。
 ・ダムカードやジオカード、歴まちカードなど、公共配布カードも好き。
 ・何かしらのコレクターになる。
 ・「不味いだろうな~」と思いつつも、ご当地ポテトチップス、ご当地サイダーなどを試す。
  ・まずいと「やっぱりな」、たまに美味しいと「やった!」となる。

・つい見てしまうTV番組は…、
ブラタモリ、月曜から夜ふかし、秘密のケンミンSHOW、ローカル路線バス乗り継ぎの旅、アド街ック天国、車あるんですけど、ポツンと一軒家、ミラクル9、こんなところに日本人etc…。
 ・地理の面白さ・奥深さをこれ以上ないくらいに世間に知らしめた、「ブラタモリ」の功績は大きいと思う。
 ・「ケンミンSHOW」は、「いやいや」とか「ヤラセだろ」とか、ぶつぶつ文句を言いながらも見る。
 ・「アド街ック天国」は、東京近郊に住んでいたらもっと楽しめたのになぁ…、と思う(by関西民)。
 ・「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」では、「そこは◯◯を通った方が~」「◯◯経由はどうだろう?」などと、自分で正解ルートを考え出す。
 ・「車あるんですけど」に出てくるマニアって、大体同種・同族の匂いがする。

・地図会社、測量会社など、地理を活かした仕事に就きたい(と思ったものの就けていない)。
 ・もし就けたら天国か(ただし、カネ払いはそれほど…)。
 ・建設コンサルに入ったら超絶激務でした(友人談)。
  ・建設コンサルは繁忙期がキツい。
   ・とはいえ、それなりに経験を積めば、食いぱっぐれはない仕事。

以上、思いつくまま書き連ねてきました。皆さんはどうですか?「あるある」ですか、「ないない」ですか?それでは、今回はこのへんで…。

(こちらもどうぞ)

・私がある種の狂気性をもって作成した、地理学関連のtwitterアカウント集です。本記事で「あるある」だった皆さんには、きっとお楽しみいただけるはず…。

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