ひきこもり科学館

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人口減少の問題点と隠れたメリット、必要な対策について ~減少自体は問題ではない、本当の問題は「速度」だ!

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現在、日本では人口減少が叫ばれています。てーへんだ、てーへんだ!と、声高に叫ばれています。国立社会保障・人口問題研究所によると、1億人を割るのも時間の問題(2048年には9,913万人に減少)だそうです。確かに、最近は街行く人も何だか年老いてみえます。しかし、そもそも人口減少って何が問題なのでしょうか?声高に叫ばれている割には、よく理解されていないような気がします。

 

① そもそも、人口減少による問題点とは?

そもそも、人口が減るとどのような問題が起こるのでしょうか?整理してみましょう。人口減少=人が減る、ということです。まず、人が減るとともに分かりやすく減るのが「カネ」です。なぜなら、人が減る=生産者・消費者がともに減る、からです。そうなると、(生産サイドも消費サイドも)1人当たりの金額を増やさない限り、経済規模は縮小していきます。今の世のなか、何だかんだ「カネ」のチカラは大きいものです。そのため、経済規模が縮小すると国際的な競争力や存在感が失われていきます。

また、ほとんどの場合、人口減少と少子高齢化はセットです(少子化あるいは高齢化なしに人口が減る、ということはそうありません)。一般に、少子高齢化は国家・地方財政を悪化させます。なぜなら、税金を納める人(若年者)が減り、税金を使う人(高齢者)が増えるからです。そのため、政府にとっては歳入が減り、歳出が増えることになります。これは、市民生活に必要なあらゆる財・サービス(例えば、道路や水道、警察、消防など)の供給に悪影響を及ぼします。特に、その影響をもろに受けるのが社会保障(年金・医療・介護)領域です。なぜなら、社会保障は若い人が年老いた人を支える、という性質が非常に強いからです。社会保障は、若い人がお金を出して(そのお金で)年老いた人がサービスを受ける、という仕組みになっています。ところが、少子高齢化が進むと、お金を出す人(若年者)が減るのにサービスを受ける人(高齢者)が増えてしまいます。これでは、税金や保険料を上げない限り、今までと同じサービスはできません。

先ほどは、人口減少と少子高齢化がセットであることを述べました。しかし、日本の場合、セットはもう1つあります。それは過疎化です。日本では、多くの地域で過疎化が進んでいます。一般に、過疎化は大なり小なり地域社会を衰退させます。例えば、お店を継ぐ人がいなくなると、そのお店は閉まってしまいます。田んぼの世話をする人がいなくなると、その田んぼは荒れ果ててしまいます。お祭りを仕切る人がいなくなると、そのお祭りはなくなってしまいます…。このように、過疎化は地域社会が担ってきたあらゆる機能を衰退させるのです。そうなると、いずれ地域での生活が成り立たなくなってしまいます(その状況が現実となったのが、いわゆる「限界集落」です)。

 

② しかし、人口減少にはメリットもある!

先ほどは、人口減少に伴って様々な問題が生ずるかもしれない、ということをお話ししました。しかし、人口減少は悪いことばかりなのでしょうか?―いえいえ、そんなことはありません。実は、人口減少にはいくつかメリットもあるのです。

人口減少の大きなメリットは、1人当たりの利用可能資源量が増えることです。土地や食べ物、石油など、あらゆる資源が1人でたくさん使えるようになります。このうち、特に分かりやすい例は土地でしょう。人口が減ると、1人が利用できる土地が広くなります。すると、今までより広い家を建てて、住むことができるようになります。無理をして、せせこましいアパートに住む必要もなくなる訳です。さらに、農家であれば田畑を広げることもできるようになります。収穫量も上がりますので、農家でも食べていきやすくなるでしょう。このように土地が広くなると、今までよりゆったりとした暮らしができるようになります。

また、日本にいると忘れがちですが、現在、世界的には大きく人口が増えています。そのため、食糧やエネルギー資源(石油、天然ガスなど)の枯渇が強く懸念されているのです。ところが、人口が減るということは、そのリスクも減るということを意味します。実は、人口減少は将来の資源問題に対する大きなリスクヘッジになるのです。地球上の資源量が増えない限り、最終的にラクをするのは「少人口」の国や地域になる訳です。

さらに、人口減少は、現在問題視されている地球温暖化現象の抑止にも貢献します。なぜなら、地球温暖化の原因とされている、CO2など温室効果ガスの排出量は、おおむね産業活動の量に比例しているからです(多少は、省エネ技術で抑えられますが)。一般に、人口が減れば、産業活動の量も減るので、温室効果ガスの排出量も減る訳です。そうなると…、地球温暖化も止まる訳です。実は、人口減少は将来の環境問題に対する大きなリスクヘッジになる、ということですね。

 

③ 本当の問題は、人口減少の「速度」

確かに、人口減少は様々な問題を引き起こすことがあります。しかし、人口減少=「悪」と捉えるのは早計です。先ほど述べたように、人口減少にはそれなりにメリットもあります。また、人口減少は適切な対策を取ることで、そのデメリットを大きく軽減することができます。いくつか、例を挙げてみましょう。例えば、経済規模の縮小は、生産活動にロボットやAI(人工知能)を導入することによって防ぐことができます。社会保障制度の崩壊は、人口変動の影響を受けにくいよう、制度を改めることで防ぐことができます(例えば、年金を積み立て方式にするなど)。増大する医療・介護ニーズも、今のうちに医師や看護師、介護士を育成することによって対応することができます。地域社会の衰退も、コンパクトシティ政策の推進によって対応することができます。このように、人口減少は適切に対策を取っていけば、何も恐れることはないのです。

ところが、日本の場合、人口減少のペースがあまりにも速すぎるのです。そのために、適切に対策を取ることが難しいのです。いきなり、社会保障制度の抜本的改革ができますか?―できません。いきなり、コンパクトシティ政策ができますか?―できません。何事も対策を取るには、それなりの時間がかかるのです。日本の場合、その時間があるかどうか…、が大きな問題なのです。人口減少自体は、さほど問題ではありません。本当の問題は、人口減少の「速度」なのです。速さなのです。スピードなのです。

 

④ 今、必要な対策は2つ

もはや日本では、人口減少は避けられません。当面のあいだ(これから100年以上?)は、人口減少トレンドが続くことになります。その上、このままの状況で放置すると、とんでもない速度で減少していきます。この状況を踏まえて、必要となる対策の方向性は次の2つです。

 

(1) 人口減少の「速度」対策

先ほど述べたように、人口減少の問題は「速度」です。日本の場合、これが速すぎるのです。今のうちに、「速度」を緩めないと大変なことになります。よって、人口減少の「速度」対策は必須といえます。そのためには、とにかく出生数・出生率を上げなければなりません。まず、働き方の多様化は不可欠です(そもそも、毎日朝から晩まで会社に居なければならない…という時点で、子育てなんて無理です)。労働時間の縮減や裁量の拡大、在宅勤務の促進が求められます。当然、育児休暇が取れないことには、お話にならないでしょう。また、給与や休暇を増やすためには生産性の向上(例えば、ロボットやAIの導入など)が必要です。さらには、養育費・教育費の支援も不可欠となります。子育て関連の手当拡充や、大学の授業料負担の軽減が求められます。このようにして、今から「速度」を緩めていくことが急務です。

 

(2) 人口減少でも豊かに生きる対策

もはや日本では、人口減少は避けられません。こればかりは仕方がないです(少々出生率を上げたところで、20~30代の人口自体が少ないですから)。よって、人口減少状況のもとでも、豊かに生活していくための対策が必要となります。例えば、働く人がいなければ、ロボットやAIで補えばいいのです。社会保障が維持しにくいならば、人口変動の影響を受けにくいよう、制度を変えていけばいいのです。都市インフラ(道路や水道など)が維持しにくいならば、まちをコンパクトシティに変えていけばいいのです。このようにして、人口減少状況にスマートに対応することが求められます。

 

以上、長々と書いてきました。さあ、これから日本はどうなっていくやら…?それでは、今回はこのへんで。

 

(参考文献)