ひきこもり科学館

つれづれなるままに、ひきこもり、硯にむかひて

【失礼すぎ】お祈りメールくらい間違えんなよ、まともに送れや

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1. お祈りメールを間違えるバカ

お祈りメール。就活をしていると、多かれ少なかれ貰うことになる不採用通知のメールのことですね。能力的にも性格的にもサラリーマンに不向きな私は、新卒でも中途でも、それはもう数えきれないほどのお祈りメールをいただいてきました。それはもう「お祈りメールコレクター」と言ってもいいほどです(うれしくない)。で、このお祈りメール。だいたいは名前だけ変えれば使い回せるような、テンプレート的な文章で送られてきます。例えば、こんな感じで…。


●● ●様

株式会社●●●● 採用担当の●●でございます。
先日は弊社面接にお越しいただき、ありがとうございました。

この度、慎重に選考を進めさせて頂きましたが、残念ながらご希望に
添えない結果となりました。
誠に恐縮ではございますが、何卒ご了承の程お願い申し上げます。

末筆ではございますが、今後のご健勝をお祈り申し上げます。


はい。不採用の事実と表面的な感謝、お祈りの情報しかない(*1)、無機質な文章ですね。こんなメールが、(ほぼ)応募した分だけ大量に送られてきます。まぁ、

・応募者の心情を逆撫でしない
・余計な選考情報を漏らさない

ようにすると、どの会社も同じ、こういう無機質な文章になるのかなぁ…といった感じです(余計なことを書いて、後でトラブるのも嫌だし…)。が、しかし。たまーに、こういうテンプレートでも間違えるヤツがいるんです。やらかすヤツがいるんです。下記のメールは、実際に私が受け取ったものなんですが。


●● ●様

株式会社●●●●●●●●●●●●●●●
採用担当のです二宮。

さっそく慎重に選考を重ねました結果、
遺憾ながら今回は採用を見送らせて頂くことになりました。

誠に不本意な結論かと存じますが、
あしからずご了承くださいますよう
お願い申し上げます。

末筆になりますが、
●● ●様の今後のご活躍をお祈り申し上げます。

採用担当/二宮

 

「採用担当のです二宮。」って何やねん。のです二宮。です二宮。どういう日本語してんねん。何その、斬新な語順(*2)。ていうか送る前に、ざっとチェックくらいしろや。不本意なのは、(不採用の)結論じゃなくて、このメールの文面じゃボケェーー!!

いや、単なるタイプミスと言えば、そうなんですけどね。たまーにある、しょーもないミスと言えば、そうなんですけどね。(応募者に対する)扱いのぞんざいさが透けて見えるのが、嫌ですよね。(選考に)落ちたヤツなんてどうでもいい…、という。いや、本音はどうでもいいんでしょうけども。それを(ミスとはいえ)表に出しちゃダメでしょう、という話でして。まぁ、ほかの仕事で忙しいんだ、とか分からなくもないですよ。とはいえ、数秒、文面をチェックする時間すら惜しかったですか?というね。そういう思いが発生するじゃないですか。

本来お祈りメールなんて、ビジネスライクにさっと流す(=話を終わらせる)ためのものなんでしょうが。こんなミスがあったら、流れるものも流れないよ!堰に引っかかった流木だよ!となってしまいます。激しい怒りとまではいかなくても、モヤモヤしたイヤ~な感情は湧いてきてしまいます。そうやって、結果的には、応募者の心情を逆撫ですることになってしまうのです。私だって、真面目にクレームを入れようかどうか、迷いましたからね(時間と気力の無駄かな?と思ってやめましたが)。それだけ、お祈りメールのミスは発火性がある、ということです。人によっては、twitterあたりで火事を起こしたい、そういう気持ちが発生しても何らおかしくはありません。という訳で。火事になりたくなければ、丁寧に送った方がいいと思います。数秒の確認、怠らない方がいいと思います。

続いては、こちらのメールです。

 
●● ●様

この度はWEB面接にご参加頂きましてありがとうございました。

慎重に検討させていただきました結果、
誠に残念ではございますが、採用を見合わせていただきたく存じます。

貴意に添えず誠に申し訳ございませんが
何卒ご了承賜りたくお願い申し上げます。

末筆になりましたが、今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

株式会社●●●●●● 人事部

 
こちらも実際に私が受け取ったものなんですが、一見普通ですよね。文面としては何もおかしくない。ところがわたし…、WEB面接に参加してないんです。WEB面接以前の、書類選考の段階でこれが送られてきたんです。つまりは書類選考落ち…。

おっかしいなぁ~。担当者は、誰とWEB面接したんでしょうねぇ~?ドッペルゲンガーですかねぇ~、それとも生き霊か何かですかねぇ~(んな訳ないやろ)。ひょっとしたら、他の応募者と取り違えているのでは?(希望的観測)とも思ったので、問い合わせたところ、そんなことはなく単なる事務処理ミスとのこと…。おいおい、てめぇ。

「です二宮。」と同じ、単なる事務処理ミスに過ぎないとはいえ、決していい気分はしませんよね。やはり、(応募者に対する)扱いのぞんざいさが透けて見えて…。だいたい、こんなミスがある時点で、人間を人間として扱っていないというか、人間をすごく適当に「捌いている」ことが分かりますよね。おそらくこの会社にとって、人に人格や尊厳なんてないんでしょう。人間をブロイラーか何かと思っている、そういうフシがあります。

まぁ労働市場においては、人間が労働力という「商品」として売買されることは致し方ないのですが。とはいえ、いかにもブロイラーだな、捌かれているな、と感じさせるのはよろしくないでしょう。何せ、人間は「感情」の生き物ですので。人間には、感情という厄介な機能が実装されていますので、こんなしょーもないミスにも激しい反応を起こしてしまいます(起こしました)。

だいたい、面接なんかでもそうですが。あっ、この会社に人としての人格とか、尊厳とかはねぇーな!と思った途端に、貴社への印象は大きくダウンしてしまいます。もし受かったとしても、あまり行きたくない会社になってしまいます。いや、残念ではありますが…(貴社が辞退されまくってるの、そのへんに原因があるかもしれません)。結局、採用活動って人間どうしの生々しい営みですから。どんなに機械的に捌こうとしても、どこかで無理が出てくるんでしょうね。うーん…、難しい。どうしてもブロイラー的にやりたいのなら、Pepperくんにでも丸投げした方がいいんじゃないでしょうか?Pepperくん相手なら、どうにか拳を抑えられる気がする…。

はい。では、ここから得られる教訓と結論をまとめましょう。

【教訓】
・お祈りメールのミスは応募者の心証を損ねやすい
・応募者は人格や尊厳の毀損に敏感(ぞんざいな扱いはすぐに分かる)
・落選者こそ丁寧な対応を心がけよう
・お祈りメールは確認を怠らず、丁寧に送ろう(内容や宛先を要確認)

【結論】
「お祈りメールくらい、まともに送れや。ばかやろう」

 

2. 割とマシなお祈りメール(実例)

えー。ここでもう筆を置いてもいいのですが。ここからは、無機質でブスッとしたお祈りメールのなかから、比較的人間味のある、おそらく応募者の心証に配慮したとみられるものをご紹介します。(私が実際に受け取った)実例です。

まずは1通め。


●● ●様

株式会社 ●● 採用担当でございます。
このたびは弊社にご応募頂きまして、誠にありがとうございました。

頂戴しましたWeb履歴書をもとに選考を進めさせて頂きましたが、
残念ながらご希望に沿えない結果となりました。
誠に恐縮ではございますが、何卒ご了承の程お願い申し上げます。

また、この度はたいへん多数のご応募を頂いており、ご連絡を差し上げる
までにお時間を要しました。誠に申し訳ございません。お詫び申し上げます。
末筆ではございますが、今後のご健勝をお祈り申し上げます。

株式会社 ●●


「たいへん多数のご応募」で競争率の高さを示唆し、かつ「お時間を要しました」と連絡の遅れに対する言い訳にもつなげる、頭脳的なプレー。事務的な体裁と人情的な納得を両立させる、賢いフレーズです。このように事務的な体裁を保ちつつも、さらっとお話を収めるという、お祈りメールの基本スタンスを貫いています。

では2通め。

 
応募いただき、ありがとうございます。

プロフィールを踏まえて検討をしましたが、誠に残念ではございますが、
ご経験内容などでより合致した候補者が何名かいらっしゃったため、
今回は採用を見合わせていただくことになりました。

ご希望に添えず恐縮ですが、
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

多数の企業の中から当社にご応募いただきましたことに
感謝するとともに、より一層のご活躍をお祈り申し上げます。

●●●●●●採用担当

 


「プロフィールを踏まえて」よく検討した上で、他に「より合致した候補者」が複数名いたことを伝え、まぁ仕方ないよねと思わせる内容。お祈りメールにしてはハッキリした物言いで、むしろ好感が持てます。スペック差は残酷ですが、かえって諦めの方はつきやすい、そういう面があります。

さらに3通め。


●● ●様

株式会社●●● 採用担当でございます。
先日は弊社採用面接にてお時間をいただき誠にありがとうございました。

弊社の状況及び貴殿のご経験などを勘案し、各所責任者にて慎重に検討
させていただきましたが、今回は貴殿にご活躍いただける場の提供が難
しいという結論に至りました。

誠に心苦しい限りではございますが、何卒、ご諒承くださりますよう
お願い致します。

末筆ではございますが、今後の更なるご活躍を心よりお祈り申し上げ
ております。

株式会社●●●
採用担当


「弊社の状況」「貴殿のご経験」などを勘案し、「各所責任者」で慎重に検討した上で、それでもマッチングできなかった、という内容。詳細はよく分かりませんが、いろいろ頑張って考えたんだよ、ということだけは伝わってきます。全体的にボヤっとした印象ではあるものの、マッチングの難しさをそれとなく想像させることで、応募者の心情に配慮しています。

最後に4通め。


●● ●様

●●●、●●(株)の採用担当です。
先日は弊社面接にご参加いただき、ありがとうございました。

●●さんにつきましては、合わないというより、
ご縁がなかったかなと思っております。
私共では、本部選考もあります。
それらも含めて、諸々検討、調整させていただきましたが、
ご縁がなかったと判断させていただきたいと思います。

誠に恐縮ではございますが、何卒ご了承の程お願い申し上げます。
末筆ではございますが、今後のご健勝をお祈り申し上げます。

●●●、●●(株) 採用担当

 


う~ん、謎ですね。「合わないというより、ご縁がなかった」という部分は、どう解釈すればいいのか悩ましいところですが(組織の体制とか、ポジションの空きとか、いろいろあるんでしょう。よく分かりませんが)。とにかく難しい判断をした、という感じはします。さらに、「本部選考」も含めて「諸々検討、調整」した(*3)との文言から、幅広くマッチングを図る努力をしたということが窺われます。それでもなお、「ご縁がなかった」という判断なのでしょう。でしたら、仕方がありません。


はい。お祈りメール1通でも、表現の仕方によっては、受け取る方の心証も大きく変わる、ということが分かりますね。ちょっとした書き方の違いで、(最後にフッと残る)貴社のイメージも、それなりに変わっちゃうかもしれません。ただメールの場合、その文面でしか判断できないので、表現がキツくなったり、ブスッとしたりしないよう注意が必要ですね。

えー。ここまで書いてきたら、お祈りメールの供養をしているような気がしてきました。パチパチ、お焚き上げをしているような気がしてきました。パチパチ、パチパチ…。それでは、メールのお焚き上げが済んだところで、今回はこのへんで…。


注)
*1 たとえ表面的でない感謝やお祈りがあったとしても、それを文面から読み取ることは困難である場合がほとんどだ。
*2 ひょっとしたら、担当者が日本語がネィティブでない可能性もある。その場合はまだ許せる気がしないでもない。
*3 この選考は、現場(店舗)スタッフ採用での選考であり、本部スタッフ採用の選考ではなかった。