ひきこもり科学館

高学歴こじらせニートが、日々思い付くまま、あれやこれや書きます。

「1票の格差」解消によって、地域の一体性が失われる問題 →選挙区には、面積要件が必要では…?

f:id:neetland:20180409011231p:plain

今、日本では、しきりに「1票の格差」が叫ばれています。選挙のたびに訴訟が起こされ、「違憲」「違憲状態」といった判決が下されています。しかし、「1票の格差」って、一体何が問題なのでしょうか?実は、それほど大した問題でもないんじゃ…?と思ったりもします。そこで今回は、「1票の格差」問題について、改めて考えてみることにしました。

 

◎ そもそも「1票の格差」って?

「1票の格差」とは、有権者1人当たりの1票の価値(重み)の差のことをいいます。例えば、A選挙区(有権者数:40万人)とB選挙区(有権者数:120万人)から、国会議員をそれぞれ1人ずつ選出するとしましょう。この場合、A選挙区では「40万人から1人」が選ばれる、B選挙区では「120万人から1人」が選ばれる、ということになり、A選挙区の1票はB選挙区の1票の3倍の価値(重み)を持つことになります。つまり、A選挙区とB選挙区の「1票の格差」は3倍になります。これが「1票の格差」というものです。

 

◎ 「1票の格差」はないのが理想だが…

確かに、現状の選挙制度では(数の論理では)相対的に地方の意見が重視され、都市部の意見が軽視されている、といえましょう。その点において「1票の格差」に全く問題がないとはいえません。理想をいえば「1票の格差」はない方が望ましいです。

 

しかし、現実的には「1票の格差」を完全になくすことは不可能です。なぜなら、人口や有権者数は常に流動・増減するからです。むしろ、これ以上「1票の格差」をなくそうとすると、かえって弊害も大きいのではないでしょうか?例えば、有権者数の把握に莫大なコストがかかったり、地域の一体性を無視した区割りが設定されたりするおそれがあります。実務上、格差解消にも限界があるのです(1.00倍なんて夢物語です)。現状、「1票の格差」は衆院選で2倍、参院選で5倍程度ですが、この程度の格差であれば受容しても構わないのではないでしょうか?格差解消の余地も、あまり大きいとは思えません。むしろ、ひどく偏った日本の人口分布から考えると、格差は十分小さいのではないか、とすら思えてきます。

 

◎ 地域の一体性を無視してもよいのか?

確かに、「1票の格差」を解消する努力は大切です。しかし、人数を合せようとすればするほど、選挙区はどうしてもいびつな形状になってしまいます。その結果、失われるのが地域の一体性です。地域には、その地理的な条件から一定の「まとまり」が存在します。例えば、都市圏や経済圏、文化圏といったものがこれに当たります。選挙区は、地域によって政治的な課題やニーズが異なる(例えば、農村部は農業振興を要求するが、都市部はそれを要求しない)ため、こうした「まとまり」に沿って設定することが求められるのです。実際に、地域的なニーズに応じて制定された法律もあります。例えば、琵琶湖再生法(2015年成立)。これは、滋賀県選出の国会議員らのはたらきかけによって、制定されました。このように、国会議員にはそれぞれの地域(選挙区)のニーズを満たす役割があるのです。

 

しかし、「1票の格差」に固執しすぎると、こうした地域の「まとまり」は無視されてしまいます。その顕著な例が、2016年参院選で導入された合区です。2016年参院選では「鳥取・島根」「徳島・高知」がそれぞれ1つの選挙区になりました。これは、明らかに広すぎではないでしょうか?例えば、直線距離でも約240km離れた、鳥取市と益田市が抱える政治的課題・ニーズは同じでしょうか?いや、決して同じではないでしょう。これは、明らかに地域の「まとまり」を無視しています。しかし、格差解消(数合わせ)の観点では、これが正しいとされるのです。

 

果たして、これでいいのでしょうか?このままでは、(地域の一体性を無視した)地方の選挙区の広域化、都市部の選挙区の細分化が、どんどん進行してしまいます。また、地方の選挙区数が減っていくので、当然ながら地方の政治的影響力は弱くなってしまいます(事実、合区によって、国会議員を単独で輩出できなくなった県があるのですから)。本当に、これでいいのでしょうか?

 

◎ 解決策として、面積要件を設定してはどうか?

先述の通り、格差解消(数合わせ)の視点だけでは、様々な問題が生じてしまいます。そこで必要となるのが「地域への視点」です。「地域への視点」とは、(先ほど述べた地域の一体性のように)地域の「まとまり」やバランスを考える視点です。この視点を入れることによって、選挙区割りの地域的整合性を担保することができます。

 

とはいえ、地域の「まとまり」やバランスを的確に捉え、それを選挙区割りに反映させることは容易ではありません。そこで、現実的な提案として、選挙区の設定に面積要件を導入してはどうでしょうか?面積要件というのは、例えば「各選挙区の面積は50㎢以上5000㎢未満とする」というように、選挙区の面積に一定の制限を設けることをいいます。面積要件を導入すれば、行き過ぎた選挙区の広域化・細分化を防ぐことができるのです。そうすれば、都市部も地方も、適度な政治的影響力を持つことができるはずです。どうでしょう?皆さんは、どのような解決策を考えますか?