ひきこもり科学館

高学歴こじらせニートが、日々思い付くまま、あれやこれや書きます。

学校の「いじめ」問題最強の対策は、クラス制の廃止・縮小である

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近年、学校での「いじめ」問題が注目されています。まぁ、「いじめ」なんて昔からあったでしょうし、何を今さら…という感じもするのですが、世間がようやく事の重大性に気付いてきた、ということでしょう。確かに、大津市の中学校で起こった痛ましい事件などをみると、誰しも「これはとんでもない問題だ!」と思うはずです。そんなこんなで、近年は「いじめ」対策についても、活発に議論されるようになってきました。

しかし、現在行われている多くの議論では、未だに重要なことが抜け落ちています。本気で「いじめ」対策に取り組むならば、避けては通れないテーマが抜け落ちているのです。それは何でしょう…?―それはズバリ、クラス制です。実は、「いじめ」とクラス制は、切っても切れない関係にあるのです。

 

(1) クラス制が「いじめ」を生み出す素地をつくっている

まず、理解してほしいのが、クラス制が「いじめ」を生み出す素地をつくっている、ということです。皆さんは、「いじめ」には起こりやすい環境的条件がある、ということをご存知でしょうか?―それは、① 濃密な人間関係と、② 閉鎖的な空間の2点です。この2点について、順にみていきましょう。

 

① 濃密な人間関係

濃密な人間関係があると、友達をつくりやすくなります。また、物事を他の人と協力してやりやすくなります。しかし、その一方で、他人のちょっとしたこと(=あら)が、気になるようにもなります。他人のちょっとした癖、ちょっとした一言、ちょっとしたミス…よく考えると別に大したことないことでも、何か気になってしまうのです。決して大したことないことでも、「何かムカつく」し「何か腹立つ」のです。皆さんもあるでしょう?そういうことが。そして…、顔をつき合わせているうちにイライラが溜まっていき、ついに「いじめ」に手を出してしまうのです。

 

② 閉鎖的な空間

先ほどは、濃密な人間関係では他人の“ちょっとしたこと”が気になってしまう、ということを述べました。しかし、気になるのであれば「見なきゃいいじゃないか」という声もあるかと思います。確かに、その通りだと思います。しかーし!閉鎖的な空間ではそうもいかないのです。閉鎖的な空間では、いつも同じ人たちと顔を見合わせることになります。それは、嫌いな人であっても関係ありません。(たとえ見たくなくても)常に、嫌いな人の「何かムカつく」「何か腹立つ」姿が見えてしまうのです。そうなると、もう耐えられませんよね?つい、いつの間にか「いじめ」てしまいます。そして、さらに困ったことに閉鎖的な空間では、いじめられた子どもは他の場所に逃げることができません。そのため、嵐が過ぎるのを待つように、ひたすら耐えるしかないのです。

 

このように、① 濃密な人間関係、② 閉鎖的な空間という2条件が揃う環境では、「いじめ」が起こりやすくなります。そして、何とこの2条件が、クラス制のもとでは見事に揃ってしまうのです!まずは、① からみると、学校では30~40人程度の集団が、朝から夕方まで週5日は過ごすことになります。これは、見事に濃密な人間関係といえます。続いて、② をみると、学校では年に1回程度のクラス替えが行われるまで、クラスの構成員が全く変わらないことになります。これも、見事に閉鎖的な空間といえます。したがって、クラス制のもとでは「いじめ」が起こりやすくなる環境的条件が見事に整っている、と考えられるのです。つまり、クラス制こそが、「いじめ」を生み出す素地をつくっているのです。

 

(2) 「いじめ」を減らすには、クラス制の廃止・縮小すべき!

先ほどは、クラス制が「いじめ」を生み出す素地をつくっている、ということを述べてきました。このことから、学校での「いじめ」を減らすには、クラス制に手を付ける必要があると考えられます。つまり、学校での「いじめ」を減らすためには、クラス制を廃止・縮小すべきだ、ということです。少し、見方を変えてみましょう。同じ学校でも、大学ではあまり「いじめ」を聞かないのはなぜでしょうか?―それはズバリ、クラス制がないからです。クラス制がないために、① 濃密な人間関係や、② 閉鎖的な空間が形成されないからです。人間関係が無駄に濃くなったり、固まったりしないからです。ここから分かるのは、クラス制がなくなると「いじめ」は大きく減少する、ということです。そのため、小・中学校や高校でもクラス制を廃止・縮小すれば、「いじめ」を大きく減少させることができる、と考えられるのです(逆に、クラス制に手を付けない限りは、「いじめ」はほとんど減らないと思います)。したがって、今後はクラス制を廃止・縮小して、集団の流動性(人間関係の変わりやすさ)を高めていけばいいのです。具体的には、授業を選択制にする、個別カリキュラムを導入する、などの取り組みが求められるでしょう。

 

(3) クラス制廃止・縮小の方策を考える

先ほどは、学校での「いじめ」を減らすためには、クラス制を廃止・縮小すべきだ、ということを述べてきました。ところが、クラス制にすっかり馴染みきった私たちは、「クラス制じゃない学校って、一体何なのだろう…?」と思ってしまいます。そのため、クラス制の廃止・縮小といっても、具体的に「何をすればいいのか」イメージが湧かないのです。そこでここからは、学校での「いじめ」を減らすためのクラス制廃止・縮小の方向性として、具体的にどのような方策があり得るのか、考えてみることにしました。ここからは、その結果として、次の4つの方策を提示していきます。

 

① 授業を選択制にする

学校で「いじめ」が起こりやすいのは、同じ生徒たちが同じ教室にずっといるからです。ずっと、ずーっといるからです。とはいえ、そうであれば対処はカンタン、生徒たちを程よくバラバラにすればいいのです。そこで必要となるのが、授業の選択制です。例えば、同じ数学でも「A先生の数学」と「B先生の数学」というように授業を分け、生徒にどちらかを選ばせます。そして、選んだ授業に応じて生徒に教室を移動させるのです。そうすれば、<同じ生徒たちが同じ教室にずっといる>状況をある程度避けることができ、「いじめ」の発生を抑えることができるのです。なお、授業だけではなく学校自体も選択制にする、というのも1案です例えば、「◯◯学区の生徒は、A校・B校から入学する学校を選んでください」「△△学区の生徒は、C校・D校から入学する学校を選んでください」というように、通う学校自体に選択肢を持たせるのです。できれば、学年ごとや学期ごとに、学校を移籍できるようにすればいいでしょう。そうすれば、適当なときに、いじめっ子から物理的に離れることもできるようになります。

 

② 個別カリキュラムを導入する

これは、先述の「① 授業を選択制にする」とも大いに関連する事柄です。そもそも、なぜ<同じ生徒たちが同じ教室にずっといる>状況が生まれるかというと、生徒全員のカリキュラムが同じだからです。同一だからです。逆に、人それぞれカリキュラムが違えば、このような状況は生まれません。したがって、学校も個別カリキュラムを導入すればいいのです。イメージとしては、大学や個別指導型の学習塾での時間割の組み方に近いものがあります。各生徒の興味関心や習熟度に応じて、どの時間にどの授業を受けるか、選択できるようにするのです。つまり、各生徒がそれぞれの時間割を組むようにするのです。そうすれば、<同じ生徒たちが同じ教室にずっといる>状況にはなりませんんので。

 

③ 教室の壁を取り払う

これは、クラス制の廃止・縮小とは直接は関係ありません。しかし、大切な視点だと思います。先ほども述べましたが、「いじめ」は閉鎖的な空間で起こりやすくなります。つまり、壁に囲まれた狭い教室ほど、「いじめ」が起きやすいのです。では、そうであるなら、対処法として、壁を取り払って広い教室にすればいいのです。さすがに、全ての壁を取り払うことはできませんが、教室と廊下の間の壁1面くらいは取り払うことができるでしょう。実際に、近年は「オープンスペース」「オープンルーム」と呼ばれる、壁の少ない造りの学校が増えています(下図参照)。

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図 学校におけるオープンスペースの事例

 

このような造りであれば、壁がない分、人の目が行き届きやすくなるため、「いじめ」がしにくくなります。また、万一「いじめ」に遭っても、他の場所に逃げやすくなります。学校を新築・改装する際は、「いじめ」が起こりにくい空間を設計することが求められましょう。

 

④ クラス替えを増やす

ここまで私は、学校での「いじめ」を減らすために、クラス制を廃止・縮小すべきだ、としつこく述べてきました。しかし、そうはいっても、これは日本の学校教育制度の根幹に関わる問題であるため、当然「すぐにはできない!」という声も上がることでしょう。確かに、それはごもっとも…、です。そこで、ここからは、クラス制を維持しながらも「いじめ」に立ち向かう方法を1つ示してみせます。それは、クラス替えを増やすことです。そもそも、学校で「いじめ」が深刻化しやすい大きな理由として、年1回程度のクラス替えが行われるまで、集団の構成員が全く変わることがない、という環境的条件があります。これでは万一「いじめ」に遭っても、次の年度になるまで他の場所に逃れることができません。そこで出てくるのが、「クラス替えを増やせばいいじゃないか」という発想です。1年ごとではなく、半年ごと、学期ごとなどクラス替えの頻度を増やすのです。ちょっと席替えに近い頻度で、クラス替えをやってしまう訳ですね。そうすれば、いじめっ子からは早く逃れることができるでしょう。逃れることができるはずです。とはいえ、クラスを「替わりたい」生徒もいれば、当然「替わりたくない」生徒もいるでしょう(仲よくなったお友達とも、離れちゃいますからね)。そういうことも、ある程度配慮しなければなりません。そこで、例えば「生徒の半数のみクラス替えを実施する」というように、クラス替えの規模を限定する方法をとることも考えられます。また、このような方法をとる場合、事前に希望調査(クラスの変更を望むかどうか尋ねること)を行えば、生徒の希望も反映させることができるでしょう。

 

いかがでしょうか。「いじめ」とクラス制の関係性について、お分かりいただけたでしょうか。いずれにせよ、今後「いじめ」とクラス制に関する議論が深まっていけば、これを書いた甲斐があるというものです。それでは、今回はこのへんで。

(参考文献)