ひきこもり科学館

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歴史の勉強って何の役に立つの?と訊かれたら ~歴史を学ぶ意義について考える

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皆さんは、自分のお子さんに「歴史の勉強って何の役に立つの?」と訊かれたら、どうしますか?―「それはね…」といって、自分なりに考えをまとめて伝えますか?それとも、「うっ」と言葉に詰まって、適当にごまかしてしまいますか?―意外と、後者の方が多いのではないでしょうか?まぁ実際、歴史を勉強したところで、日々の生活が便利になるとか、仕事や収入にありつけるとか…、ないですしね。確かに、イメージしにくいかと思います。しかし、だからといって、適当にごまかすのはよくないですよね。ここは、お子さんに勉強してもらうためにも、ちゃんと答えなければなりません。という訳で、今回は「歴史の勉強って、何の役に立つの?」という素朴な問いに、正面から向き合ってみることにしました。そして、あれこれ考えた末、6つの解答例を導きました。それでは、順にみていきましょう!

 

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1. 過去の失敗を分析し、対策を打つ

歴史は、私たち人類の足跡です。歴史には、私たちが過去に何を考え、何をしてきたのか、が刻み込まれています。そして、何をやらかしてきたのか、も刻み込まれています。だから、歴史を知れば、過去の失敗を分析し対策を打つことができるのです。例えば、古文書の記録から、かつて大きな津波被害のあった地域を市街化しない、といった対策を打つことができます。そのようにすれば、東日本大震災のような「想定外」の被害は少なくなるはずです。他にも、なぜ戦争や紛争が起こったのか、なぜ恐慌が起こったのか…等、いろいろと分析していけば、何らかの教訓、ヒントが得られるかと思います。私たちは、つい昔のことを忘れてしまいますが、そのなかにはしばしば重要な教訓、ヒントが隠れているのです。

 

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2. いつの時代も変わらない、普遍的な法則を見出す

皆さんは、歴史を勉強していて「あれ?◯◯って、今も昔も変わらないなぁ」と思ったことはありませんか?――実はそれ、すごく大事な感覚です。つまり、何がいいたいかというと、歴史を学んでいると、いつの時代も変わらないような、普遍的な法則を見出すことができるのです。例えば、紛争は正義の対立に起因するとか、外交において「敵の敵は味方」とか、好・不況は周期的に繰り返すとか、不況期には極端な思想が流行るとか…、そういったものです。これらは、長い歴史のなかで見出されただけに、それなりに説得力、信頼性を持ち得るものです。だから、今を生きるあなたの意思決定においても、十分参考になり得るものでありましょう。

 

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3. 今、生きている世界の成り立ちを理解する

歴史を知ることは、今、生きている世界の成り立ちを知ることでもあります。今の社会や文化はどうして、こうなっているのだろう?――こうした疑問は、歴史を知ることによって解消できることがあります。なぜなら、現在は何かしら過去の影響を受けながら、できているからです。例えば、近年、日本の労働市場では「新卒一括採用」への批判、異議申し立てが相次いでいますね。しかし、そもそもなぜ「新卒一括採用」という制度が導入され、これほどまでに普及していったのでしょうか…。その歴史的経緯が分かれば、この制度にも合理的な理由があること、メリットがあることを理解できるはずです。ただただ、一方的に叩くのはよくないかな、と思うはずです(*)。このように、私たちが今生きている世界で疑問に思うこと、不満に思うことは、歴史を知ることによって解消できることがあります。少し、時間の視野を広げることによって、解消できることがあります。歴史というのは、昔を知ることで今を知ることにもつながるのです。

*もちろん、その上で賛否両論あるのは構いません。私も、今の新卒一括採用には多くの問題点があると考えていますし、今後は新卒一括採用以外の、多様な制度や方法論が模索されるべきだと考えています。

 

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4. 旅行がより楽しくなる

歴史を知れば、旅行をより深く楽しめるようになります。それはなぜか。先ほど述べたように、歴史を知ることは、今、生きている世界の成り立ちを知ることでもあるからです。例えば、あなたは関ヶ原の古戦場に行って、どのような感想を持つでしょうか?――「何だ、ただの原っぱじゃん」でしょうか。それとも、戦国武将たちの熱き戦い、悲喜こもごもの人間ドラマが頭のなかを駆け巡り、「あぁ…」と深い感動に浸るでしょうか。つまり、歴史を知っている人と知らない人とでは、同じ場所でも見えている景色が違う、ということです。…まぁ、関が原はマイナーというか、かなり玄人向けですけどね。京都や奈良のような、メジャーな観光名所・寺社仏閣だって、その形成過程や歴史的背景を知っていると、より深く楽しめるようになりますよ。

 

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5. 今の常識・価値観を打ち破る

歴史を学んでいると、今、当たり前とされていることが、かつて当たり前ではなかったことに気付くことがあります。例えば、今は「会社で1日8時間働く」のが当たり前ですよね。しかし、この働き方はずっと昔からあったのでしょうか?――そんなことはありません。この働き方は、産業革命以降にできたものです。産業革命で、資本家が賃金労働者をかき集めて、組織化して、初めてできたものなのです。したがって、今のサラリーマン・OL的な働き方は、たかだか100年ちょっとの歴史しかない訳です。にもかかわらず、このようなスタイルを絶対視するのは、いかがなものでしょうか?会社を辞めたくらいで、人生そのものに絶望するのは、いかがなものでしょうか…?――いささか、視野が狭いように思います。――このように、歴史を知ると、今の常識・価値観なんて簡単に打ち破れてしまうのです。それこそ、「今まで、何でこんなことを気にしていたのだろう?」というように、変に狭まった意識を解放することができるのです。他にも、いろいろな例があるかと思います。例えば、「子どもは、1人か2人しか産まない」とか、「ネットで友だちをつくる」とか。これらは、長い歴史のなかでは当たり前の事象なのでしょうか?―そんなこと、ないですよね?

 

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6. 他者を理解する、他者と良好な関係を築く

私たちは、外国人など、自分とは違う人たちを目にすると、つい嫌悪感や反発心を抱いてしまいます。しかし、一度「何で違うのか」を理解すると、割とそういったものは消えていくのです。なぜなら、(“違い”の理由を理解しているので)こんな“違い”があってもいいのかな、と思えるようになるからです。確かに、容姿が違う、文化が違う、思想が違うとなると、多少なりとも身構えてしまうのは仕方ありません。しかし、「何で違うのか」がしっかり分かれば、別に身構えるようなことはないのです。――では、分かるためには何をしたらよいのでしょうか?――それは、歴史を知ることです。世界の歴史を知ることです。なぜなら、容姿にしろ、文化にしろ、思想にしろ、私たちとの“違い”の背景には歴史があるからです。歴史的経緯があるからです。例えば、アメリカ人が(日本人には過剰に思えるほど)自分の意見を強く主張するのは何で?とか。いろいろあるかと思います。よって、歴史を学ぶことは、他者を理解することにつながるのです。そして、他者と良好な関係を築くことにもつながるのです。

 

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(おわりに)

以上、あれこれ考えてみました。ただし、これはあくまで私のしょぼい頭で考えた「思いつき」に過ぎませんので、他にもっといい答えがあるかもしれません。ていうか、あるはずです。ですので、ここから先は、自分でよく考えてみてください。あくまで、自分なりの答えを導き出すのが大切だと思います。それでは、今回はこのへんで…。

 

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(参考文献)