ひきこもり科学館

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難関大学に入る簡単な方法は、大学院から入ること|「学歴ロンダリング」のお話

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もし、大学受験を控えた高校生に「難関大学に入るにはどうしたらいいですか?」と聞かれたら、私ならこう答えます。「まずは、目いっぱい勉強しなさい。それが無理なら、大学は適当なところでいい。大学院から入りなさい」と。大学(大学院ではなく)に入りたい人にはピント外れの答えでしょうが、そう答えるにはそれなりの理由があります。
 

それは、難関大学は大学院からの方が入りやすいからです。言い換えると、大学院入試は大学入試よりも簡単だからです。もちろん、大学や専攻、入試内容によっても変わりますが、おおむねこのような傾向にあります。事実、私は地方の公立大学から、某旧帝大、某旧商大の大学院を受験し、両方とも合格しています。両方とも、大学受験時にはとても手が届かなかった大学です。

では、どうしてこんなことが可能になるのでしょうか。その理由は、大学入試と大学院入試とでは、次の4点において大きな違いがあるからです。

 

① 大学院入試は入試科目数が少ない

まず、大学入試と大学院入試とでは、入試科目が大きく異なります。それぞれの科目をみていきしょう。
 

【大学入試】

 大学入試では、次のような科目があります。

  • 国語(現代文・古文漢文)
  • 英語
  • 数学(ⅠA・ⅡB・ⅢC)
  • 理科(物理・化学・生物・地学)
  • 地歴公民(日本史・世界史・地理・現代社会・政治経済・倫理)

いやぁ…、たくさんありますね。特に、難関国立大学ではたくさんの科目を受験しなければなりません。いわゆる「5教科7科目」とか、そういうやつです。皆さんも、この科目数に苦しめられていることでしょう(特に、万遍なく得点するのは難しいです)。だから、戦略的に私学受験に絞る方も一定数いますね。

【大学院入試】

一方、大学院入試では、次のような科目があります。

  • 外国語(多くの場合、英語)
  • 専門科目

以上(笑)。これに、せいぜい面接が加わるくらいです。
 

どうでしょう。大学院入試の何としょぼいことでしょう。これをみれば、大学院入試に必要な勉強量が、大学入試よりもかなり少ないということが分かるはずです。これなら、私のようなクソ要領の悪い人でもまぁ何とかなる、ということです。ちなみに、英語が得意な人はかなり有利です。何せ、1科目減ったようなものですから(専門科目に専念できます)。とはいえ、そうでない人も、何か月かあれば追いつけますから頑張りましょう。

 

② 大学院入試は倍率が低い

一般に、大学院入試は倍率が低いです(もちろん、例外もありますが)。それは、難関大学でも、定員を満たさない研究室があるほどです。ましてや、非難関大学や文系分野の大学院であればなおさらです。まぁ、倍率が2倍もあれば、高い方ではないでしょうか。そのため、大学院入試は最低限勉強すれば、大抵は受かるようになっています(落ちる人は、明らかに準備不足の人が多いです)。ただし、ごく一部の人気のある研究室では、たまーに、ものすごく倍率が高くなることもあります。ご注意ください。

 

③ 大学院入試は「論ぜよ式」、大学入試とは違う!

皆、大学に入ればすぐに分かりますが、(小中学校を含む)高校までの定期試験と、大学の定期試験とでは、問題のタイプに大きな違いがあります。それを、ひとことで言うなら、高校までの定期試験は「答えよ式」で、大学の定期試験は「論ぜよ式」です。それぞれの違いをみてみましょう。

【高校までの定期試験】

まず、「答えよ式」である、高校までの定期試験には以下のような特徴があります。

・決まった答えがある(答えが、1つか2つしかない)

・型に合わせて答える、答え方に幅がない(穴埋め問題、記号択一問題)

・正確な理解を求める(減点方式、重箱の隅をつつく問題)

何というか、“細かく詰めていく”感じですね。ちなみに、大学入試も、高校までの定期試験と同じ「答えよ式」です。
 

【大学の定期試験】

一方、「論ぜよ式」である、大学の定期試験には以下のような特徴があります。

・決まった答えがない(答えが1つではない)

・自分で答えをつくる、答え方に幅がある(論述問題)

・細かいことは気にしない、話に筋が通っていればOK、意味が合っていればOK

やはり、高校までの定期試験とはタイプが違いますね。何というか、“ざっと組み上げていく”感じですね。

それで、大学院入試はどうかというと、当然ながら、大学の定期試験と同じ「論ぜよ式」です。そのため、「答えよ式」の大学入試が苦手だった人も、「論ぜよ式」の大学院入試ならバリバリできる、ということが多々あります(私もそうです)。だから、大学入試が振るわなかった人にはチャンスです。大学入試の“細かく詰めていく”感じが苦手でも、大学院入試の“ざっと組み上げていく”感じなら得意かもしれません。特に、大学での勉強が割と面白いなぁと思った人、大学に入ってから成績が上がった人は、すごく有望だと思われます。ぜひ、チャレンジしてみてください。

 

④ 大学院入試は個別的、必ず相性のいい大学院がある!

大学院入試は、大学入試とは異なり、受験する大学院によって試験の中身が大きく異なります。たとえ、同じ研究分野の試験であっても、受験校によって試験問題の内容や形式はてんでバラバラなのです。例えば、同じ地理学専攻であっても、大学や教員によって立地論が出たり、景観論が出たり、歴史地理学が出たりします。
 

そのため、大学院によっては、(たまたまでしょうが)あなたと相性のいい問題を作っているところがあります。ここでいう"相性のいい”問題とは、「あまり勉強しなくても答えられそう」な問題とでも捉えてください。百聞は一見に如かず。実際に、何校かの過去問を見比べてみれば、分かると思います。ちょっと見て、「難しそう…」というところもあれば、「あれ、割とイケるんじゃね?」というところもあるはずです。後者の場合は、あなたと相性のいい問題だと判断されます。そういう問題を作っている大学院は、ズバリ合格する可能性が高いです。他の受験生を上回れる可能性が高いです。そういうところを、積極的に狙っていきましょう。大丈夫です。(相性のいい大学院は)探せば、必ずあります。

 

(おわりに)

以上、ぐだぐだと書いてきました。ここで言いたいのは、大学入試と大学院入試は全然違うよ!ということです。だから、大学入試が振るわなかった人にもチャンスはあるよ!ということです。 それでは、今回はこのへんで。